コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

言葉

雪の名前

雪や雨を呼ぶ言葉にはいろいろあるが、名前やその響きに趣深いものが多いような気がする。昔の人は気象や季節に関心を寄せ歌などを読んでいたために、自然に雨や雪を現す言葉も巧みな名がつけられていったのかもしれない。ということで今回は雪の名前。「細…

揺蕩う(たゆたう)

今回は柔らかい語感の言葉について。和語というのは全体的に柔らかい印象がある。古文は苦手だが、古文的な動詞は特に柔らかい語が多く、その響きは良い。ということで今回は柔らかい語感の和語の動詞について。語感だけでなく、字も良いものをいくつか集め…

御侠(おきゃん)*

「せっちゃんはおきゃんでまるで男の子みたい」というのは、小学校の教科書に乗っていた「どろんこ祭り」の出だしだっただろうか。話の内容はあまり覚えていない。普段は男勝りな女の子が、どろんこ祭りのときにふと女の子らしさを見せた、とかそんな話だっ…

日本語なるほど塾

NHKの「日本語なるほど塾」が地味に面白い。各界の専門家を呼び、月ごとにテーマを決めて「日本語」について講義のようなことをする番組だ。本当に地味で、ほとんどがスタジオでの1対1の対話。たまにロケや例示、街頭インタビューが入るという程度。しかし…

「全然」の誤用

ちょっと気になって調べてみたところ、「全然〜ない」というのは近代以降に定着した使われ方らしい。それ以前は、むしろ肯定的な使い方をするのが普通で、否定文で使われることの方が珍しかったようだ。つまり「全然OK」などの言い方は、言葉が巡り巡って元…

誤用に御用

巫山戯た見出しで御免なさい。昨日、「確信犯」の誤用について少し触れたので、それに関して少しググッってみた。その中で面白いページを見つけたので紹介。 Tack'ns - 解散宣言・「正しい日本語を守る会」 言葉に関するエッセイのようなものが書かれている…

懐石(かいせき)*

「懐石」といえば、豪華な日本料理のコースなどに使われる言葉となっているが、本来は茶の席で出される簡単な食事のこと。「会席料理(かいせきりょうり)*」の会席と音が同じことから混同され、本来の意味とはまったく逆の豪華な料理の意として使われたりし…

地団駄(じだんだ)*/踏鞴(たたら)*

NHKの言葉の番組を見ていたら、「地団駄を踏む」についての解説を行っていた。その言葉の由来は知っていたのだが、話を聞きながらふと気づいたことを。「踏鞴」は製鉄などの竈に足で踏んで風を送る大きなふいごのことである。一方「地団駄」は「地踏鞴(じだ…

蜃気楼(しんきろう*)

最近コトバノツドイになっていないので言葉を引っ張り出してみる。説明するまでもないが、砂漠の上にオアシスが見えたり、海上に町が見えたりするあれである。大気の温度差のために異常屈折が発生し、本来見えないものが見えるという現象。空気の層の温度差…

精霊飛蝗(しょうりょうばった)*

「精霊」と書いて「しょうりょう」と読む。お盆のことを「精霊会(しょうりょうえ)*」と呼んでいたが、その頃によく現れるのでこの名がついたという。「精霊」には死者の魂という意味もあるので、なんとなくこの虫に霊が取り付いているような印象も受ける。…

多重人格(たじゅうじんかく)*

以前に、「妄想」を例にあげて、本来の意味とは違う使われ方をする言葉について述べたが、他にもそのような言葉がいくつかあるので、それについて述べてみたいと思う。今回は主に心や性格に関する言葉。専門家ではないので、認識や知識に錯誤があるかもしれ…

海月(くらげ)*

「水母」とも書く。その生態もかなり奇妙な生物だが、それを現す文字も変。「海月」はその形や時に光る様からその名がついたのだろう、と想像できるのだが、「水母」に関しては何に由来しているのかさっぱりわからない。どうやら元は漢名ということらしいの…

神無月(かみなづき)*

十月のこと。「かんなづき」「かむなづき」とも読む。十月には日本中の神が出雲大社に集まるため、各地には神が不在となり、そのために「神のいない月」となった、というのが一般的な解釈だ。しかし「かみなづき」の「な」は、本来は「の」の意味の格助詞だ…

妄想(もうそう*)

「妄想」といえば、「ありえないことを想像すること」というような意味合いで使われることが多いと思う。しかし実際の意味はこうだ。 根拠のない誤った判断に基づいて作られた主観的な信念。分裂病・進行麻痺などで特徴的に見られ、その内容があり得ないもの…

言葉の順序

とある場所で以下のような質問を見つけた。 優しいけど、酒飲みだ 酒飲みだけど、優しい この二つを比べた場合、どちらが好印象ですか? 多くの人は後者を選ぶだろう。しかし実際には、どちらも言っている内容はほとんど同じなのだ。言っていることはほとん…

彼岸(ひがん)*

最近[言葉]について書いてないので、久々に。2週間ほど時期がずれてしまったが、「彼岸」について。春分と秋分の日前後の七日間、仏事をいとなむこと。春分と秋分はちょうど真中で彼岸の中日。最近は彼岸なんかをしない家も増えてきて、彼岸を知らない人も…

新人名用漢字

我が子の名をつけるときに使いたいと思っていた漢字があった。それは「綴」という文字。「つづり」と読ませてもいいし「つづる」と読ませてもよい。良き人生を綴れますように、というような意味合いを込めて名づけたいと考えたりもしていた。しかし我が子の…

御萩(おはぎ)*/牡丹餅(ぼたもち)*/善哉(ぜんざい)*

お彼岸、ということで。「御萩」と「牡丹餅」、どちらも同じものだが、季節によって呼び名が変わるというのが面白い。しかもどちらもその季節に咲く花に由来する名前が付けられいて風流だ。実は今朝の朝ご飯が御萩だったのでちょっと書いてみた。黄な粉と餡…

朧(おぼろ)*/霞(かすみ)*

ちょっと季節外れだが。どちらも空や景色などがぼうっとする様を表す。特に春の季節によく使われる。「朧」と「霞」の違いは、「霞」は昼に、「朧」は夜に景色が虚ろになることを言う。朧という字面がいい。月の龍。月にかかった雲を龍と例えたのか。「おぼ…

日本語って面白い

日本語が大好きだ。他の言語をよく知っているわけではないが、これほど表現力が豊富な言語もなかなかないのではないかと思う。曖昧で難しいと言われる日本語だが、それだけ変化と創造性に富む言語であるということだろう。文法に関しても、表記に関しても、…

右翼(うよく)*/左翼(さよく)*

今回は別に右翼や左翼の批判をしようという話ではない。飽くまでも言葉、概念の話。右翼、左翼という言葉が示す意味は非常にあいまいだ。本来の意味を逸脱し、状況によってコロコロと色を変える都合の良い言葉とも言える。元の意味はともかく、現在ではある…

右翼(うよく)*/左翼(さよく)*

今回は別に右翼や左翼の批判をしようという話ではない。飽くまでも言葉、概念の話。右翼、左翼という言葉が示す意味は非常にあいまいだ。本来の意味を逸脱し、状況によってコロコロと色を変える都合の良い言葉とも言える。元の意味はともかく、現在ではある…

霖(ながめ)*

季節モノ、ということで。長雨がなまって「ながめ」。和歌などでは「眺め」と掛けて使われることもあるそうで。梅雨や秋雨などの降り続く長い雨のことを言う。「ながめ」という語感がいい。雨に林という字もいい。ちなみに秋の長雨、秋雨のことを「秋霖(し…

阿吽(あうん)*

「阿吽の呼吸」などでよく使われる言葉。 「阿」は悉曇(しつたん)字母の最初の音で開口音、「吽」は最後の音で閉口音。 悉曇字母というのがどういうのか判らないが、要は「A to Z」と同じ。神社や寺の前にいる狛犬や仁王像もそれぞれ「阿」と「吽」を表して…

阿吽(あうん)*

「阿吽の呼吸」などでよく使われる言葉。 「阿」は悉曇(しつたん)字母の最初の音で開口音、「吽」は最後の音で閉口音。 悉曇字母というのがどういうのか判らないが、要は「A to Z」と同じ。神社や寺の前にいる狛犬や仁王像もそれぞれ「阿」と「吽」を表して…

袈裟(けさ)*

言うまでもなく、坊さんが着ている衣のこと。辞書には「不正色、壊色(えしき)の意」とある。「壊色*」とはこれまた聞きなれない言葉なので調べてみると、 袈裟(けさ)のこと。通常、青壊色・黒壊色・木蘭(もくらん)壊色の三種類がある。不正色(ふしようしき…

袈裟(けさ)*

言うまでもなく、坊さんが着ている衣のこと。辞書には「不正色、壊色(えしき)の意」とある。「壊色*」とはこれまた聞きなれない言葉なので調べてみると、 袈裟(けさ)のこと。通常、青壊色・黒壊色・木蘭(もくらん)壊色の三種類がある。不正色(ふしようしき…

豹変(ひょうへん)*

突然態度や言動などが変わることを表現する言葉。「君子豹変す」という諺でよく使われる。本来は良い意味で使われていたが、現在では悪い意味で使われることが多い、とある。悪い意味とは、善人に見えていた者が実は悪人で、急に残酷になったり暴力的になっ…

豹変(ひょうへん)*

突然態度や言動などが変わることを表現する言葉。「君子豹変す」という諺でよく使われる。本来は良い意味で使われていたが、現在では悪い意味で使われることが多い、とある。悪い意味とは、善人に見えていた者が実は悪人で、急に残酷になったり暴力的になっ…

有り難う(ありがとう)*

説明するまでもないが、感謝を示すときに発する言葉。しかしこの言葉、字をみてよくよく考えてみると「めったにないこと」という意味であって、感謝とは直接関係がない。たぶん「有り難き幸せ」みたいな言葉の上の部分だけを取ったものだろう。日本語の挨拶…