コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

地団駄(じだんだ)*/踏鞴(たたら)*

NHKの言葉の番組を見ていたら、「地団駄を踏む」についての解説を行っていた。その言葉の由来は知っていたのだが、話を聞きながらふと気づいたことを。

「踏鞴」は製鉄などの竈に足で踏んで風を送る大きなふいごのことである。一方「地団駄」は「地踏鞴(じだたら)」という言葉がなまってできた語。つまり「地団駄」と「踏鞴」は同じ物をさす言葉なのだ。

「地団駄」も「踏鞴」も、「踏む」という言葉によって慣用句になる。「地団駄を踏む」「踏鞴を踏む」。しかしこの二つの慣用句、意味がまったく異なるのだ。「地団駄を踏む」は悔しがって両足をばたばたと地面に打ち付ける様を言い、「踏鞴を踏む」は勢いあまって数歩歩いてしまうことを言う。どちらも踏鞴を踏む際の両足を交互に上下に上げる動作からきているのだが、それぞれまったく違う意味になってしまっているのが興味深い。

製鉄、剣関係の慣用句は案外に多い。「焼きを入れる*」「焼きが回る*」「しのぎを削る*」「相槌を打つ*」「太刀打ちできない*」「付け焼刃*」「反りが合わない*」「切羽詰る*」「抜き打ち*」などなど。物は廃れても言葉は残る。

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