最近コトバノツドイになっていないので言葉を引っ張り出してみる。
説明するまでもないが、砂漠の上にオアシスが見えたり、海上に町が見えたりするあれである。大気の温度差のために異常屈折が発生し、本来見えないものが見えるという現象。空気の層の温度差だけで光が捻じ曲がるというのはなかなかに興味深い。日本では富山湾での蜃気楼が有名だ。
空気の温度差が光を歪めるのであれば、猛烈な水蒸気を発生するボディスーツなどを作ったら、光学迷彩になるということだろうか。ちなみに現在開発されている光学迷彩はこちら。まだ映像を投影するという実用性には遠いものだが、実際に研究している機関があるというだけでも面白い。
閑話休題。すぐ話がそれてしまっていけない。言葉の話に戻ろう。この「蜃気楼」という言葉、「蜃」とは巨大ハマグリのこと。中国の逸話で、その巨大ハマグリが吐き出した気が描いた楼閣である、ということから蜃気楼の名が付いたらしい。「蜃楼*」と書いて「かいやぐら」とも読むらしい。
中国で巨大ハマグリがどういう類のものなのか、探してみたが見つけられなかった。ともかくあの幻像を貝の吐いた気とみなすというのはなかなかに突飛な発想だ。巨大貝といえば西洋で言えば大王貝だが、東洋ではハマグリとなるのだろうか。
なお、中国では蜃気楼は蓬莱と結び付けられたりもしたらしい。また西洋では、そのままラピュタのような「空に浮かぶ都」と認識されていたようだ。
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