- 出版社/メーカー: ソニー・コンピュータエンタテインメント
- 発売日: 2001/11/22
- メディア: Video Game
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ビブリボンが届いた。いわゆる音ゲーと言われるジャンルのもの。画面はほぼ白黒で背景もなく、線だけの画面。落書きのような線画のキャラを操作して、音楽に合わせて流れてくる障害物を避けていく、という非常に単純なゲームである。
このゲームが他の音ゲーと異なる点は「好きな音楽CDを使ってゲームをプレイできる」という点。「ビートマニア」や「パラッパラッパー」、「スペースチャンネル5」などの他の音ゲーは、ゲーム内で用意された音楽でしか遊べない。しかし「ビブリボン」では、ロックやポップスはもちろん、クラシック、そして漫談まで、とにかく音の出るCDであれば何でもゲームになってしまうのだ。
障害物を避けるためにタイミングよくボタンを押していくのだが、使うボタンはたったの4つ。障害物も10種類(1ボタン押しの障害物4つと、2ボタン同時押しの障害物6つ)とおそろしくシンプル。しかしだからこそ、余計なことを考えずに音楽とゲームに没頭できる。
ということで、ファーストインプレッション。ゲーム性としては申し分ない。想像していた通りの出来だ。噂で聞いていた音のズレもあまり気にはならない。曲によってはズレてしまうものもあるにはある。和風な曲やサンバのような変則的なもの、音の種類があまりに多数あるもの、変調が多いものなどは苦手なようだ。しかし普通の曲であればだいたいちゃんとリズムに乗っている。障害物のタイミングも、単純にリズムの上を走るだけではなく、裏拍子が微妙に織り交ぜられているのも良い感じ。
また、一本の線上を障害物を進んでいくというのは、どことなく「新装 ぼくを探しに」を彷彿とさせる。これもまた良い感じ。
ゲームの難易度は比較的高く、障害物にある程度慣れないとまともにプレイできない。しかし数回プレイしていれば、頭で考えるまでもなく、見た物に対して指が動くようになってくる*1。そういう意味でも障害物10種類というのは妥当な数だと思う。
もうひとつの長所は、気軽さ、手軽さ、そして速さ。ゲームディスクをいちいち入れなくても音楽CDを入れ替えて遊べる点。一度オリジナルCDでのゲームをはじめれば、もうゲームディスクは必要なくなる。すべてのプログラムをメモリ上に保持しているので、音楽を変えたければただ音楽CDを入れ替えれば良いのだ。
また、音楽CDを入れてからゲームがはじまるまでが早い。私は一度音楽CDを全走査してからゲームがはじまるかと思っていたのだが、ほとんど待ち時間なくゲームがはじまる。ストレスなくゲームに入れるというのは重要な点だ。
褒めちぎってきたが、不満がないわけではない。むしろやっていると続々と不満部分が出てくる。ゲーム性以外の部分、たとえばモードやオプションについて「足りない」と思うことが多いのだ。とりあえず箇条書きにしてみる。
- オリジナル曲が少なすぎる(3曲しかない)
- オリジナル曲の転調が激しすぎる
- 音楽CDプレイ時の難易度設定がない
- 音楽CDプレイ時のモードが少ない
- キャラが1種類しかいない
- ダメージを受けてくると画面が揺れてくるのが非常にプレイしづらい
- 道が斜めになるとタイミングが取りづらい
- グラフィックスの速度変化でミスる
- 初心者用のボタン表示などの機能が欲しい
オリジナル曲が少なすぎる
オリジナル曲は、ヘタウマなガールズパンクのような3曲。曲自体はそんなに悪くはないと思うのだが、いかんせん数が少ない。いくら好きなCDで無限にプレイできるとはいえ、もう少しオリジナル曲を準備してくれてもよかったのではないだろうか。ちょっと手抜きな感じ。
オリジナル曲の転調が激しすぎる
ゲームディスクかプレステが壊れてるんじゃないかと思うほど曲の転調が激しい。もう転調を越えて、壊れたレコードのようにゆっくりになったりしている。リズムに乗るどころじゃない。絶対にどっかおかしい。音楽CDでのプレイではそういう現象は起きないが。
音楽CDプレイ時の難易度設定がない
音楽CDプレイは基本的に難易度が高い。特にテンポが速くていろんな音が鳴っている曲はトンでもないことになったりする。もっと気楽に遊びたい、あるいはアクション苦手だけど音楽を聴きながら遊びたい、という人のために、障害物の数の少ないイージーモードか、あるいは絶対に死なない無敵モードを用意して欲しかった。
あるいは、ビブリがダメージを受けるとカエルに、さらにダメージを受けるとイモムシになってしまうのだが、そうやってダメージを受けて退化したときにはゲームを簡単にするとか、入力タイミングを長くする、などの対応をしてくれれば、もうちょっとプレイヤーに優しいゲームになったと思う。
音楽CDプレイ時のモードが少ない
CDプレイでは、「シングルトラック(1曲だけ)」「オールトラック(全曲を簡単な順に)」「スピード」というモードがある。この中で全曲を通してプレイできるのは「オールトラック」のみ。しかし上に書いたように、比較的難易度が高いのでオールトラックを普通にやっていてもなかなか最後までたどりつけない。しかもオールトラックは、障害物の難易度が低い順に勝手に曲を並び替えてしまうので、CDの曲順に遊ぶということはできない。
せめて「全トラックを1曲ずつプレイ」というモードは用意して欲しかった。1曲ごとに得点とダメージがリセットされて、途中でリタイアしたら次の曲に行く、みたいな。全曲通しでプレイしづらいというのはちょっと辛い。
キャラが1種類しかいない
ゲームの性質上、あまり複雑にする必要はないとは思うのだが、せめて3種類くらいからキャラを選択できればなぁ、と。ゲームがシンプルゆえに単調になりがちだから、せめてキャラだけでも替えられたらいいのに。動きとサウンドエフェクトが替わるだけでも雰囲気けっこう違ってくると思う。
ダメージを受けてくると画面が揺れてくるのが非常にプレイしづらい
ビブリが障害物を避けるのに失敗し、ダメージを受けると、地面や障害物がブルブルと揺れてくる。そうなると非常にプレイしづらくなり、ミスの連発を招く。これがなんだか理不尽。揺れるのはビブリだけでよかったのでは。
道が斜めになるとタイミングが取り辛い
道が斜めになったり、視点がビブリに近づくとタイミングが取り辛くてミスを連発してしまうことがある。これがけっこう理不尽。自分のミスで失敗しているという気にならない*2。オプションで「視点固定」を選べたらいいのに。ただし視点固定したら得点が少し下がってしまうくらいのペナルティはあってもいいと思う。
グラフィックスの速度が変化して戸惑う
音楽CDプレイのときは、曲のテンポはかわらないが、グラフィックスの速度が速くなったり遅くなったりする。リズムをとるゲームなのに、速度が変わるというのはちょっと問題ありと思うのだがどうだろうか。まあゲーム性を壊すほど酷いものではないが、しかしスピードが替わったときにミスったりすると理不尽さを覚える。
初心者用のボタン表示などの機能が欲し
プレイしたての頃は、2ボタン押しでどれを押せばいいのか判らなくて困る。オプションで、次に押すボタンを上に表示し、押していいタイミングでハイライトする、などがあればもっと楽にゲームに入っていけるのではないかと思う。ただしボタン表示しているときは得点が少し下がってしまうなどのペナルティを付けて。
とまあ好き勝手書いてみたが、修正すればもっといいゲームになるだろう、ということが言いたかったのだ。
ゲームをシンプルに、かつメモリ上に一度に読み込めるように必要のない部分を切り落とした、というのは判る。だからグラフィックスなどは今のままでいい。しかしもう少し「遊びやすさ」を向上させてほしい。そこを手直しして再リリースすれば、けっこう売れた(売れる)んじゃないかなぁ。PSPで出してみてはいかが? *3
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