久々に新選組！の感想。今回の演出、私としては「ナシ」。ありえない。ダメ出し。とりあえずネタバレ有りなので隠します。
まず源さんマトリックス。これがギャグシーンなら許せただろう。しかしあの緊迫した場面でアレはない。ありえない。相方と一緒に見ていたので雰囲気を壊さないように声を上げるのは我慢してたのだが、一人だったら思いっきり「えーーーーっ！！」って大声上げていただろう。そのくらいありえない。
いままで、ギャグやボケ、少々の矛盾などのあった新選組だったが、今回のような飛びぬけた不自然さはなかった。しかもあの究極の場面で、である。源さんの凄さを見せたかったというのはわかる。源さんの最期に花を持たせたかったというのはよーくわかる。しかしそれにしてもあの演出は頂けない。マトリックスがない頃だったならまだいいだろう。しかし今の時点でアレをやってしまうのはあまりにも狙いすぎ。そして二番煎じ過ぎ。しかも剣で弾丸弾いちゃうし。源さんは石川五右ヱ門か、と。
もうひとつ、源さんのお別れシーン。私はドラマに幽霊が出てくるのが嫌いだ。幽霊モノならまだいいが、そうではないドラマに幽霊が出てくるのは嫌だ。死者は語らない。だからこそ切ない。特に新選組のように戦をしているときは、さっきまで笑いあっていた相手が突然帰らぬ人となる。あるいはいつでもまた会えると思っていた人に二度と会えなくなる。そういう不条理があるはずだ。それこそが戦であり、その理不尽さをこそ描くべきなのではなかろうか。
今回の無駄に長い源さんのお別れシーンで、近藤局長と源さんの間に心残りがなくなってしまった。しかも演出としても陳腐だ。「幽霊の癖に泣いてどうする」って・・・。悲劇ばかりを描けとはいわないが、今回の見せ方にはとにかく趣がない。切なさがない。違和感でいっぱいで感情移入もできなかった。虫の知らせのように近藤勇が気付く、くらいでもよかったのではないか。源さんの死なのに・・・、納得いかない。
番組が終わってから、ようやく思いっきり「えーーーーっ！！」と叫んだ。
演出の苦言ばかり呈していても何なので内容についても。
あの負け戦の最中にあってはしゃぎまわっている佐之介や、それに付き合う永倉。これが三谷流の新選組の描き方なのだろう。その明るさと源さんの死の重さが対比として表現されていると感じた。
源さんの死に関して。とうとう死んでしまった。藤堂平助のときはそれでも敵方として出てきて、「宿命の戦いの末の死」として納得できるところがあった。しかし今回は、近藤周平の失態の尻拭いとして源さんが死んでしまった。源さんとしてはそうやって死ねるのは本望だったのかもしれない。しかし周囲はそうは思わない。近藤局長とは違う意味での心の拠り所だった源さんの死の意味は重い。いままで誰が死んでも取り乱さなかった斎藤一がブチ切れて敵陣に切り込んでいった。あの行動こそがすべてを表現していたと思う。新選組はまたひとつ、大事な礎を失ってしまった。
さて腹が立つのは近藤周平のヘタレさ。いままで大目に見ていたが、こいつ新選組の足を引っ張ってばかりいる。坂本竜馬暗殺のときも、周平の試合のせいで新選組が出遅れた。今回も敵の前ですっ転んでびびって動けなかった。果たしてこの周平に三谷幸喜的な救いは訪れるのか。
もう放映も残り少なくなってきた。12月頭くらいには終わってしまうのか。なんだかやりきれない。近藤勇が将軍に言っていた「必ず勝ちます」という言葉が、行く末を知っているだけに辛い。
