今敏監督の劇場作品。ようやく見ることができました。しょっぱなから最後まで、今敏的な妄想表現ばりばりの作品。妄想代理人やパーフェクトブルーなどが好きな人ならハマるんじゃないでしょか。
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2007/05/23
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以下バレありなんで。
見てまず、いろいろな作品を連想させるなあ、と思った。私の好きなツボの様々な作品が想起された。夢に入るという設定は「ザ・セル」。たとえばクローゼットから続く梯子を降り、遊園地にたどり着く辺りサイレントヒル的、異形のパレードや現実が仮想へと摩り替わっていく辺りはイノセンスを想起させ、パレードに集う人が化けた「物」はクーロンズ・ゲート。意識を侵食された人々が語る意味のありそでなさそな独り言はプラネットライカ。
しかしやはり強いのは同じ今敏氏の作品「妄想代理人」。妄想が拡大し、現実を侵食していく様ははっきり言って「完全版妄想代理人」だと思った。導入から中盤は、妄想代理人に比べてしっかりとした話作りで、妄想と現実との違い、境界、そして混濁をうまく表現している。しかし終盤、妄想代理人とほとんど同じパターンなってしまったのは個人的には「惜しい」。なんでこの人は最後にああいう大破壊をもってきてしまうんだろう。あの部分だけ、状況の説明がつかないし、さらにあの解決方法は理解不能。真犯人がわかったところで終焉するか、あるいはあの大破壊さえもが真犯人の夢だった、なんてオチの方が(ある意味ではそうなんだけど)しっくり来たんじゃないかな。
と苦言を呈してしまったが、妄想好きとしては十分面白い作品だった。最近のアニメ映画の傾向と違い、声を声優がやっているというのも良い。ただ、バトーとトグサの組み合わせは、攻殻っぷりが気になってちょっと困った。パプリカが林原めぐみだってのは最後見るまでわからんかった。
動き、小物、テンポ、展開、個性的な登場人物、妄想の演出、表現、とにかく印象的なものが多い。音楽も、妄想代理人と同じ平沢進氏で、他にはない耳に残る曲になってる。妄想系のアニメを語る場合に、今後引き合いに出される作品になるだろね。