- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2006/01/17
- メディア: 雑誌
- クリック: 13回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
美術手帖の2月号が「マンガは芸術か?」という特集を組んでいたのでチラ見してみた。っていうか、表紙に弐瓶勉の名前があるじゃん! 弐瓶! 弐瓶!
前半の拾い読みしかしてないけど。思ったこととか見たこととか感じたこととか徒然と。
いわゆる「大衆娯楽」であった漫画が、美術館での展示に狩り出されるなどして「芸術」としての側面を見せつつある。しかしそれは「芸術になった」というよりは、漫画の持つ芸術的な部分の抽出に過ぎないと思う。それ以外のエンターテインメント性も含めてはじめて漫画は漫画たりうる。この雑誌でも書いてあるが、漫画は「見る」ものではなく「読む」ものだ。読んでストーリーに触れることによってはじめて人に入る。
そういう意味では漫画は「芸術性も持つエンターテインメント」であって、芸術そのものではない。むしろ芸術的視点から漫画を見てしまうとその本質を見失うのではないのかなー、と。見た目も重要な要素ではあるが、「見た目だけで漫画は語れない」ってこと。
ていうかそもそも「芸術」っていう定義が曖昧過ぎて「芸術か否か」っていう議論は非常にやりづらいんだけどね。
特集でピックアップされているのは村田蓮爾、古屋兎丸、そして弐瓶勉の三人。村田蓮爾は漫画家というよりはイラストレータだと思っているのだけれどどうなんだろうか。古谷兎丸はなんとなく見たことあるような気がするけどよく知らない。弐瓶勉は言うまでもなく「BLAME!」な人。三人ともなるほど芸術に被ってるな、と思うような人選だ。
続いて「マンガ史を変える30人」というタイトルで漫画家がカテゴリごとに紹介されている。
マンガ・スーパーテクニック 井上雄彦、小畑健、荒木飛呂彦 SF・ファンタジーの世界観 永野護、士郎正宗、三浦建太郎 スタイリッシュの美学 楠本まき*、桂正和、上條淳士*、多田由美* 私漫画の系譜 小田ひで次*、近藤聡乃*、黒田硫黄*、しりあがり寿- アンビエントな実力派 丸尾末広*、岡野玲子、山田章博-、松本大洋- 少女マンガの革新者 峰倉かずや*、安野モヨコ-、矢沢あい-、CLAMP- "萌え"の巨匠たち 赤松健*、コゲどんぼ*、藤島康介、あずまきよひこ*、天広直人* 21世紀的進化系 吉崎観音-、西岡兄妹*、大暮維人*、水野純子*
「*」はよく知らない人、「-」は名前や作品を知ってはいるがあまりきちんと読んだことがない人。けっこう知らない人が多いなあ。少女漫画系はほぼ全滅だし。っていうかこういうところでは名前が出てこないような少年漫画をメインで読んでるからか。
小畑健の名前が出てきたのは意外だったが、言われてみれば確かに。いつのまにか「DEATH NOTE」は映画化されるほどの人気漫画になっていたし、絵だけでも魅せる実力あるし、なるほど。
桂正和は絵だけ見ればスタイリッシュだけど、漫画の中身はスタイリッシュどころか・・・*1
浦沢直樹の名前がないというのが不思議。人気の作家というのもあるけど、あのすっきりとした無駄のない線は、芸術にも通じると思うんだけどなあ。
あと個人的には今市子と漆原友紀の名前は出してほしかった。山下和美はその後の漫画家リストに出てた。「のだめ」は・・・まあ仕方ないか。余談だけど二ノ宮知子はマンガのはっきりした線よりも鉛筆画の方が綺麗。
しかしこう言ってしまってはなんだけど、ここのカテゴリタイトルのセンスはいただけない。芸術雑誌とは思えないようなネーミング。「スーパーテクニック」はないだろ・・・。「21世紀的進化系」はその他のくくりだと思うのだけれど、ケロロ軍曹なんかはむしろ前世紀的な子供向けキャラ物の焼き直しのような気もしないでもないし*2。全体的に「コトバ」のセンスがイマイチのような・・・。
ちなみにどーでもいい話だが、まんがの表記は「マンガ」よりも「漫画」の方が好き。特に意味はないです。なんとなく。
- 関連