コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

日本家屋の言葉


最近まったく言葉が集っていないので、ちょっと書いてみることにする。


日本家屋に関する言葉というのは、なんとなく趣があるような気がする。生活に密接に関わってきたものであるが、最近では多くのものが使われなくなってしまった。物自体は残っていても、家が洋風になるなどして、それらのものを横文字で呼ぶことも多くなった。少し立ち返って古い言葉を思い返してみると、その言葉の響きが案外に面白かったり心地よかったりすることに気付く。和語でのその言葉を耳にするだけでそこはかとない郷愁を感じる。


縁側(えんがわ)*
一軒家ならともかく、マンションやアパートなどにはもうなくなってしまった。それはいまや「ベランダ」にとって変わられてしまった。

家内でありながら半分外のような不思議な空間。日向ぼっこをしたり、西瓜を食べたり、のんびりゆったりだらだら過ごす場所というイメージがある。縁側という言葉も、なんだか「縁」があるようで良いではないですか。

私の実家にも縁側のようなものがあるにはあるが、今では物置と化している。そもそもの家がそれほど大きくなく、縁側は奥の間の窓側におざなりに作られたようなものなので、あまり使われたことがない。それでも「縁側がある家」というのはなんとなく良いような気がする。

子供の頃引っ越す前の家には、窓際に板が張ってあって縁側のようになっていた。あまり記憶はないが、そのあたりでゴロゴロしていたような気がする。

縁側といえば「さざえさん」。あの縁側は日本人の理想の縁側なのではないだろうか。


縁の下(えんのした)*
床下のことだが、縁側の下あたりから家の下に入り込む場所という印象。昔の家には縁の下があった。湿気避けのための空間でもあったのだろう。ちょっとした物置になっていて、植木鉢とか瓦とか、なんだかわからない棒とか木の板なんかが押し込められていた。蜘蛛の巣が張りまくり、たまに猫が入り込んだりする混沌とした空間。子供が入り込むと埃だらけになってしかられる場所。


土間(どま)*
土のまま、あるいはコンクリを張った床場。古い家の玄関や台所はこの土間だった。田舎に住んでいたので、大きな家の玄関はたいて広い土間だった。家に上がるには段差があって、今考えると老人にはきつい構造だなあと思う。そして冬寒い。台所が土間になってるところなんてめっちゃ寒かったに違いない。大変だ。

外から来た人が靴を脱がずに、土間から家に上がるところに座って話し込んでる姿なんかをよく見かけたなぁ。


納戸(なんど)*
今で言うところのクローゼットだろうか。物置であったり、寝室であったりもしたようだ。母方の祖母の家には納戸と呼ばれる部屋があり、子供の頃から普通に耳にしていた。大人になってからはほとんど聞かなくなってしまったけど。音としては知っていたが、「納戸」という漢字で書くことを知ったのはかなり後のことだった。祖母の家には今でも納戸がある。「納」と書いて「なん」と読むのは変わっているが、唐音とのこと。


なんだか書き始めると長くなるなぁ。他にもたくさんあるんだけど、それはまた今度。