本屋に行ったら、いつの間にやらこんなものが出ていた。
- 作者: 弐瓶勉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/05
- メディア: コミック
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「BLAME!」の弐瓶勉の新作だ。普通の単行本の横に、箱がついた「限定版」が売られていた。見てみると「弐瓶デザインティーシャツ付き」とのこと。欲しい! 凄く欲しい! 箱に書かれたデザインを見ると、やはりカッコイイ。しかし値段が3,500円。ちとキツイ。しかもサイズL限定ということ。これもちょっと辛い。悩んだ挙句に今回は諦めることにした。浮いた3,000円は「Half-Life2」を買う資金に回すということで。
内容について。以下ネタバレありなので注意。
恐らくは「BLAME!」と同じ世界軸の、ものすごい過去(といっても西暦3005年)が舞台。まだ空も宇宙も火星もある。しかし世界は、人間をゾンビ化するウイルスに脅かされていた。そんな中、東亜重工*1からひとりの男が派遣された。男は浄化支援のために、バイクを駆って汚染地域へと入って行く。
自己修復や変形などを行える感染者、新たなる生物形態への殉教、ある特性を持った人物の奪い合いなど、「BLAME!」と似ている点が多い。主人公も霧亥っぽい。しかし空があり、宇宙があり、火星があり、街があり、(ゾンビ化してはいるが)人がたくさんいる世界はやはりブラムとは違う。また、「BLAME!」が「静止」の漫画だったのに対し、今作は「疾走」の漫画になっている点も注目すべきだろう。
さらにはクマも出てくる。このクマがいい味を出している。「まてっ、まてっ」「ないぞっ、それはない!」は既に名台詞として私の脳に刷り込まれた。さらにバイクですっ飛んだときのクマの驚き顔。最後に泡を吹いて落ちかけるところ。何度見ても笑える。これは「BLAME!」にはなかったユーモア表現だろう。
絵も、良い。どこを切り取ってもイラストになるような重工さと緻密さ。弐瓶勉独特の巨大建造物の描写も健在だ。背景のみならず、人物のデザイン、ポーズ、構図、動き。どれもが感覚的に脳内に響く。また2話と7話の表紙、斜線さえないべた塗りだけであれだけの絵を描ける技量はやはり凄い。
ストーリーに関しては、比較的説明が多く「BLAME!」に比べて断然分かりやすい。独自の固有名詞がたくさん出てくるが、今作では欄外に解説まで付けて懇切丁寧に説明してくれている。「BLAME!」と似すぎていて少しもたれるところもあるが、そこは「形式美」と捕らえてしまおう。*2
総合的に見て、私の欲している弐瓶節バリバリの作品だったので非常に満足している。ただし万人ウケするものでないことは確かだ。特にグロいのが苦手な人にはお奨めしない。
短期集中連載で、雑誌での連載はもう終わっているらしい。ならば早く次巻を出して欲しい。
追記:
正直なところ、まだちょっとティーシャツに未練を感じている。
追記2:
しかし「バイオメガ」ってタイトルは・・・いけてるのか?