コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

サイコドクター楷恭介 (1, 2)

サイコドクター楷恭介 (1) モーニングKC
的場健版の「サイコドクター」はけっこう気に入っていて全巻買っていたのだが、作画の人が変わったというので買うのを躊躇していた作品。それを相方が衝動買いしてきた。

前作がすっきりしないところで打ち切りのように終わってしまったので非常にモヤモヤしていた。そこへ、「作画が変わって続編が出る」と聞き、また複雑な気分だった。作画が変わったいきさつは知らない。作画の的場健が編集部か原作者の亜樹直とトラブったか、あるいは他の原因があるのか。ともかく絵が変わるということは作品そのものが変わるということで、あまり気分のいいものではなかった。ネットでの評判を見ても、「的場版と雰囲気が違う」とか「顔の見分けがつかない」など、あまり好意的ではない意見が散見された。

そんなわけで、食指が動かないでいた。しかし実際に読んでみたところ、危惧していたような違和感はほとんどなかった。キャラ設定や絵は微妙に変わってはいるものの、作品そのものを壊すほどではなかった。以前のサブキャラが何人か消えてしまっているのは少し寂しいが、登場しているキャラは見た目にも性格的にもきちんと前作を引き継いでいて、すんなりと入り込めた。少し楷恭介のキメ台詞がウザくも感じられたが、それも許容範囲だろう。

話の内容としても、前作同様、心の問題と事件とが複雑にからみあったミステリーものとなっていて面白い。ただ事件を解決するだけではなく、患者の心の問題まで解く。あるいはそのことにより事件が解決へと進む。その辺りの事情のからみ具合や伏線の張り方は相変わらず上手い。

ただ気になるところもある。前作でもそうだったのだが、楷が案外にあっさりと患者の状態を家族でもない恋人などに暴露してしまうことだ。本人に確認もとらず、第三者にそういうことを話してしまうのは守秘義務違反なのではないか、と。あるいは、患者を治療するためにその友人を一時的に強迫神経症へと誘導するなど、医者としてそれはやってはいかんだろう、というようなこともやってしまっている。治療のためにはそういうことも必要だというのは判らないでもないが、逆に言えば治療のためには手段を選ばない奴とも言える。そういう「やりすぎ」と言わざるを得ない部分が気になってしまった。その「やりすぎ」がこの漫画の面白さのツボでもあるので、単になくせばいいというものでもないのだが。

ともかく、絵の違和感も少なかったし、続きも読んでみたいと思う。義妹の話とか、ちゃんと進むのだろうか。

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