思い通りの写真が撮れない。プロのような写真が撮れないというのはいまさら嘆くまでもないが、自分が気に入る写真さえ撮れないのが辛い。以前はそれでもフィルムを1本使えば2、3枚はお気に入りの写真が撮れていた。誰がどう評価しようと、自分では「これイイ」と思うようなモノが撮れていた。しかし最近私が撮る写真にはそれがない。100枚とっても「イイ」と思えるほど残る写真がないのだ。
ひとつには、デジカメを使っているということがあろう。コンパクトであれ一眼レフであれ、アナログなカメラには「ファインダーを覗く」という、それだけで世界を切り取ることのできる行為がともなう。しかしデジタルカメラにはそれがない。確かに映像は画面の中で区切られているが、それは覗き込んだ世界ではないし、カメラの外側にはカメラに写らない世界も見えている。それは切り取られることなく、ただ世界の一部が映っているに過ぎない。
プロのカメラマンはファインダーを覗くときも、反対側の目を開いて両方の目でものを見て撮る人もいるというが、それとデジカメはやはり違う。特に私のようにスキルも才能もない者はファインダーによって切り取られるという行為が必要なのかもしれない。
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