コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

日本家屋の言葉4 - 仕切り

今回は空間と空間を分ける仕切り等。

簾(すだれ)*

田舎の古い家などではいまでも見かける、窓のところにつける日よけ。祖母の家では今でも使っている。和風ブラインドということになろうか。モノや機能はブラインドとほとんど同じはずなのに、どうして竹や葦で作ると、とたんに日本の田舎っぽくなるのだろうか。

「すだれ」という響きは和っぽくてけっこう好きだ。元々は「簀垂れ」と書いたようだ。「簀*」とは「割り竹や葦(あし)を糸で粗く編んだもの」だそうで、それを垂れるから「すだれ」。まんまです。「簀巻き(すまき)*」の「簀」です。

蚊帳(かや)*

寝るときの布団の上に吊るす網状の覆い。名前の通り、蚊の侵入を防ぐためのもの。これも幼い頃、祖母の家に泊まるときに使っていた記憶がある。クーラーなどまだない頃だったので、暑い夜は窓を開けて寝る。そうすると当然蚊が入ってくる。ということで、蚊帳は寝る際には必須の道具だった。

しかし、蚊帳ってどのくらい知名度のあるものなのだろうか。名前や用途は知っていても、実際に使ってた人っているのかな。田舎暮らしならともかく、都会で蚊帳って珍しいような気がする。機能性でいえば(寝相さえ酷くなければ)かなり良いものだと思うし、子供にとっては「半透明に閉じられた空間」を作る魔法のアイテムでもあった。

ちょっと調べてみたところ、今の蚊帳ってものすごくオシャレになってるぽい*1。ベッド用蚊帳とか、なんだか王様気分だぞ。海外の(東南アジアの?)はもっと王様っぽいけど。


帳(とばり)*

他にも「帷」「幄」「幌」などとも表記するようだ。室内に垂れ下げる布。今では日常生活ではあまり使わなくなった言葉だが「夜の帳」などの表現でしばしば見かける。薄暗くなり世界が暗くなる様を、夜の布がかかったと表現するのはなかなか詩的で心地よい。

衝立(ついたて)*

説明するまでもないとは思うが、移動できる間仕切りのこと。一般的には「衝立障子*」のことをさすようだ。実際には障子に限らず、板のものや竹のものなんかもあると思う。洋風に言えば「パーティション」かな。そう言ってしまうともう趣の欠片もないが。

これも古い家にはけっこうある。寝るときに布団脇に置いてたり、大きな家になると玄関先に大きなものがデンと置いてあることも。

普通に使う言葉だが、「衝」で「つい」と読むのはちょっと珍しいかも。

屏風(びょうぶ)*

折り畳み式の衝立、となるだろうか。金持ちの家にある、とか、骨董品というイメージがある。あるいは宴会場のステージの後ろとか。なんだか微妙なイメージばっかりだなあ。

*1:いかにも蚊帳っぽい従来の蚊帳も当然あるけど。