コトバノウタカタ

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日本家屋の言葉2

「他にもたくさんあるのでそれはまた今度」と書いたのでまた書いてみる。今回は屋内の間仕切り的なモノ。ちなみに前回の記事→「日本家屋の言葉 - コトバノツドイ


鴨居(かもい)*
障子や襖などの引き戸をはめ込む溝がついた、間仕切りの上の部分。日本家屋独特のモノらしい。なぜ「鴨」なのか。鴨が居る? 一説として「防火の呪いのため水辺で生活する鴨の形につくったと」というものがあるが、鴨の形の鴨居ってどんなものだろうか。軽く検索してみたが、それ以上のはっきりとした語源について言及したものを見つけられなかった。「語源由来辞典」にもないし。

日本家屋独特と書いたが、そもそも襖や障子を取り払って複数の部屋を一続きとして使うことができる、というのが日本独特の建築構造である。機能的かつ汎用的な古い家屋の構造。日本に住んでいれば当たり前のことだけど、これってけっこう賢い方法なのではないだろうか。

ちなみに「鴨居」の反意語は「敷居」。


敷居(しきい)*
こちらはよく聞くので説明するまでもないが、障子や襖などの引き戸をはめ込む溝がついた、間仕切りの下の部分。玄関の入り口や門の下の部分も言い、「敷居をまたぐ」「敷居が高い」などの「玄関から中に入る」という意味での慣用句にも使われる。

古くは「閾(しきみ)*」と称したらしい。こちらは「門の下の横木」の意味が強いようだ。


欄間(らんま)*
鴨居と天井の間に透かし彫りなどを施したもの。明り取りや風通しのためにある。どこかで語源を聞いたような記憶があるのだが、忘れてしまった。

最近の家屋ではほとんどなくなってしまった欄間。洋風の家にはまずないし、和室も最近はシンプルなものが多いので欄間を作らないことも多い。

母方の祖父は大工だったらしく、その家には彫刻をほどこした欄間があった。子供の頃にその掘られた造形をなんとなく見ていたような記憶がある。あいまいな記憶で、本当にあったのかどうかはっきりとは覚えていないが。今度、祖母の家に行ったら確認してみよう。もしあったら写真でも撮ってこうようかな。


襖(ふすま)*
説明するまでもないが、細い木枠に厚紙を張った建具。本来は障子の一形態だったようだ。考えてみれば、紙で部屋を仕切るというのも奇妙なものだ。

寝殿造は、一つの建具が母家と庇から構成され、いわゆるワンルーム形式でしたが、書院造では壁、あるいは杉戸、襖、障子などで小さく区切られるようになりました。

ということで、元々は一続きだった部屋を仕切るために襖や障子が作られ、それが発展し、建具となったようだ。先に「広く使える」と書いたが、それは逆で、もともと広かったものを「分割して使える」ようにしてきたということになろう。


障子(しょうじ)*
これも説明するまでもないと思うが、一般的には格子状の木枠に薄い紙を張った建具。元々は襖や衝立を含む間仕切りの総称だったようだが、いまでは「明かり障子」と言われる、現在の障子をさすようになったとのこと。

薄い障子紙は、ガラスがない時代に光を部屋に取り込むための工夫。それが柔らかい光となっていまでも使われている。欄間もそうだけど、日本家屋って間接照明の宝庫だな。

子供がいる家ではたいてい破られる運命にある。

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