ここのところ立て続けに何冊か読んだので、それぞれ簡単にレビューを。
のだめカンタービレ (10)
のだめカンタービレ(10) (講談社コミックスKiss (505巻))
- 作者: 二ノ宮知子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/09/13
- メディア: コミック
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指揮者を目指す天才、千秋様と、天才だけどバカでやる気のないピアニスト「のだめ」こと野田恵の愛と音楽に満ちた感動ギャグ巨編(一部嘘)。もう10巻にもなるんですな。
今回は千秋がようやく海外進出を果たし、フランスへ移住しての話。のだめもコンクールに合格し、音楽学校を中退して千秋様についておフランスにやってきました。妙にウキウキしている千秋様に対して、言葉もしゃべれないため、ちょっとホームシックぽいのだめ。しかしのだめは、フランス語習得につながる劇的な出会いを果たす!詳しくは読んでください。
この作者、二ノ宮知子は天才を描く天才だ。「天才ファミリーカンパニー」や「GREEN」でもそうだが、常にある種の天才を描き続けている。普通の漫画の中の天才というと、単に「彼は天才だ」という説明であしらわれることが多いが、彼女の場合それをちゃんと物語の中で説得力をもって表現しているからすごい。今回はいわゆる二ノ宮流のクールな天才千秋様と、まったく逆の天然オオボケ欲望のままに生きる天才のだめ。このコントラストが面白い。水と油のような二人が、お互いに支えあったり、触発しあったり、邪魔しあったりしてお互いの足りない部分を補っていく様は見ていてほほえましく、またワクワクする。
10巻が千秋様が成長するかな?といういいところで終わってしまったので、続きが気になってしまいますよ。
鉄腕ガール (1)
- 作者: 高橋ツトム
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/03/12
- メディア: 文庫
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相方が衝動買いしてきた何冊かの漫画のひとつ。「スカイハイ」の高橋ツトムが描く、戦後すぐの頃の女子プロ野球の話。カフェで働く気の強い主人公が、高給につられて一日だけの女子野球選手になる。本物の女子プロとの勝負に負けた主人公は、本格的に野球をはじめることを決意する。
高橋ツトムって、ホラーやバイオレンス系以外の漫画も描いてるんですな。というか「スカイハイ」しか読んでないんだけど。でも、この人の描く人の顔は、ホラーじゃなくてもホラーしてて怖い。そんなに怖くない場面でも怖い。脳裏に「スカイハイ」が焼きついているからだろうか。
話としては、ふつー。実話を元にしているとも聞いたけど、詳細はよく知らない。
鬼
- 作者: 山岸凉子
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2002/12/01
- メディア: 文庫
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相方が衝動買いしてきた何冊かの漫画のひとつ。短編集だが、表題にもなっている「鬼」は、山岸凉子の転機となった作品らしい。といっても、山岸凉子の作品を読むのはこれがはじめてなので、それまでの傾向などはまったく知らないのだが。
民話を元にしたお話。とある大学の不思議探求を目的とするサークルが、旅行先で部長の知人の寺にお世話になる。しかし妊娠中の住職の奥さんの様子がおかしく、またサークルのメンバーたちもいろいろと不思議な目に合う。調べていった結果、その土地に昔あった村が・・・。
読んでいて、今市子の「百鬼夜行抄」をずっと思い浮かべていた。民話や伝承、怪奇現象、そして人間の心と行いが巻き起こす悲劇。この「鬼」と「百鬼夜行抄」には共通する部分があると思う。
しかし「百鬼夜行抄」の方が断然面白い。なんだか「鬼」は、後半ちょっと説教っぽくなるのが違和感があるし、ストーリー展開やキャラの性格付けも「百鬼夜行抄」の方に分がある。
他の作品も、さくっと読むにはいいが、あまり強い印象は残ってないなぁ。
バジリスク~甲賀忍法帖~(1) (アッパーズKC (197))
- 作者: せがわまさき,山田風太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/05/02
- メディア: コミック
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妹から借りてきた漫画。作者のせがわまさきの別の作品、「鬼斬り十蔵」を以前に少し読んでいたのだが、どうにも読みづらくて1巻の途中でほったらかしになっている。ジャンプやサンデーのつまらない漫画でも余すところなく読む私が、漫画を途中で投げ出すなんてほんとうにめったにないことだ。それだけ読みづらい、あるいは面白くない漫画だった、ということか。
しかしこの「バジリスク」はちゃんと面白かった。一度の全部借りて一気に読んだ。やはり原作付きだと違うということだろうか。伊賀と甲賀の忍者バトル。ひとりに1つの特殊能力。「ジョジョ」か「魔界都市ハンター」か、という感じでわかりやすくてよい。ざっくざくと登場人物が死んでいき、あれよあれよと話が進む。話のつなぎ方も結び方も見せ方もけっこううまいと思った。
「鬼斬り十蔵」もがんばって読んでみるかな。
ES (Eternal Sabbath) (7)
- 作者: 惣領冬実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/08/23
- メディア: コミック
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これも妹から借りて読んでる漫画。惣領冬実作。実験により作られた、人の心を読み、操る力を持つシュロとイサク。人間に道具のように扱われ、殺されそうになったイサクは、人類への復讐を誓う。そして2人の能力を受け付けず、シュロと深い仲になった学者未祢は、シュロとともにイサクと戦う。
救いのない漫画。登場する主要人物がどんどんと死んでいく様は、「寄生獣」などにも通じるところがある。今回も例に漏れず、いや、いままでで最大の悲劇が起きる。ただ「寄生獣」と違って、学者先生が甘ちゃんだから、悲劇が止まらないんだよね。
話もそろそろ大詰めになってきたようで、あと1、2巻で終わっちゃうかな。なんだか最近台詞が少なくて、あっという間に読み終わってしまうような気がするよ。