コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

自由戦闘ゾーン


選挙を前にしてまた荒れ始めたイラク情勢。それに関連したニュースを読んでいて、こんなものに行き当たってしまった。あまり血なまぐさいことは書かないようにしていたのだが、この記事が少々衝撃的だったので言及することにした。少し長ったらしくなるが、引用。

米国は、バグダード包囲の際、ナパームを使ったことを認めた。ニュース報道が証拠を確認したのち、ペンタゴンは嫌々ながらそれを認めたのである。米軍は、この事実を、現在使っている新兵器と「伝統的ナパーム」は違うのだといって隠蔽しようとした。「改善された」兵器はペンタゴン名「マーク77焼夷弾」と呼ばれ、「環境破壊を減ずる」ためにジェット燃料を使っている。軍担当者が、人間を焼き殺して灰にするための道具を開発するときに「環境破壊」に配慮さえしていることから、これらの者たちに染みついた深いシニシズムを見てとることができる。


ペンタゴンの些末事を強調する言い訳は、事実を誤魔化す役にはほとんどたたなかった。イラクから帰還した海兵隊員たちは、この爆弾をナパームと呼び、そして事実それはナパームなのである。英サンデータイムズ紙の記者サイモン・ジェンキンスは、ファルージャの出来事を次のように述べている:「大砲の中には、水では消せない火の幕を吹き上げる白燐弾を発射するものもあった。反乱勢力兵士たちは、皮膚を溶かす物質で攻撃を受けたと述べている。これは、白燐による火傷の特徴である」。耐えがたいほどの苦しみを伴う死に方である。


独立系記者たちは、しばらく前から、米国がファルージャで禁止された兵器を使ってきたと報じている。イラクの医師たちは、自分たちが見た遺体の多くが「膨れ上がり、黄色くなっていて、臭いがしなかった」と述べている。アジア・タイムズ紙オンラインは、「米軍は、ジョラン地区、アシュ=シュハダ地区、アル・ジュバイル地区を爆撃する際、化学兵器を使った。これらの地区にはクラスター爆弾も激しく投下されたと語っている」と報じている。ペンタゴンが主張する「精密爆撃」を覆す情報である。

多くがイラク寄りの立場からのニュース記事なので、すべてを鵜呑みにしてしまうことはできないが、かといって嘘だと無視してしまうこともできない話だ。それに、米軍が使用を禁止されているナパームを使用したことを認めているのは事実のようだ。ナパームやクラスター爆弾については以前から言われていたが、化学兵器までも使用しているという話。これが事実なら、イラクを攻め立てた正義も糞もなくなってしまう。いや、そもそも大量破壊兵器がない、と断定した時点でアメリカにはもう正義の欠片も残っていないのだけれど。しかしここで国際条約で禁止されている化学兵器などを使っていたとなると、正義がないどころか、以前のイラクと同様の「犯罪国家」ということになるのではないか。


加えて、以下の記事。

一部の者は米軍は「自由発砲ゾーン」とでも呼ぶものを設けるべきだと主張する。そこでは遭遇するすべての人間は敵とみなされ、したがって合法的な標的とされ、民間人を識別して保護するというアメリカ兵の義務を軽減するのだという。

「自由発砲ゾーン」とは。この記事だけでは真偽のほどはわからない。イラクの大量破壊兵器と同様、確証がなければ責めることはできないとは思うが、アメリカにはアルグレイブ刑務所での一件のような「前科」もある。

確かに、ゲリラとの戦いは大変だろう。民間人を装い、罠に誘い込んだり、自爆テロをするゲリラもいるだろう。だからといって、「市民に化けたゲリラがいるかもしれない」という理由で市民を殺していては、何のための解放なのかわからない。アメリカはイラク市民のために戦っているのではなかったのか。そのイラク市民を「面倒くさいから」という理由で殺してしまってもいいのか。民間人を保護するというのは最優先事項ではないのか?

そうやって民間人を殺せば、さらなる敵意を産み、新たなる抵抗勢力を作るだけだ。いくら殺し続けても、この戦いは終わることはないのに・・・。