コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

「crane 01」を読んで

先日の記事に書いた「crane 01」が届いた。id:asagi29さんをはじめとする有志が集まり、はてなグループを使って作った小冊子である。

冊子はボリュームは薄めだが、チープではない。かと言って市販の本とも違う。同人誌のような重苦しさはないけれど、フリーペーパーのような軽々しさでもない(フリーではないしね)。「小冊子」と銘打たれたそれは、どこにでもありそうだけどあまり見たことない。そんな雰囲気の本だった。

内容は写真と文章。文章は基本的にエッセイだが、現実とも仮想ともつかぬ不思議な話もあった。2部構成で、前半は「うつくしい」というテーマを元に、後半はフリーテーマで作品が綴られている。長くはないけれど、流し読みでは終らない脳の後ろに残るような作品たち。そして単に読むだけではなく、写真も使って目でも楽しませてくれる。

誤解を恐れず言えば、これ読んでいると不思議な懐かしさがこみ上げてきた。学生時代、私は文芸部なるサークルに身を置き、「文集」なるものを作ったことがある。一度伝統の途切れたサークルで、なんのノウハウも知識もなく我々の世代で「第一号」となる文集を作った。

我々が作ったものは「crane」と比ぶるべくもなく稚拙なものだったが、それでも有志が集まり、作品を持ち寄り、自分たちで一つの「本」として作り上げていくという作業が、「crane」読んでいて懐かしく思い出された。久しく忘れていた表現するという感覚、作るという感覚。ブログを書くのとはまた違う、実体を持った「本」を作る感覚。そういうものが喚起されたように思う。

「crane」を読んでいると「もっと読みたい」という欲が出てくる。しかし長くなりすぎるのもまた違うのかもしれない。程よいところで締め、そして次へと繋がる。「crane 02」も読んでみたくなる。