コトバノウタカタ

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BLOOD+ - ファーストキス

BLOOD+ 2006年度 カレンダー
攻殻機動隊」を制作したProduction I.Gの送るホラーアクション系アニメ。続編なのか焼きなおしなのか別物なのかよく判らないが、以前に同プロダクションで制作された映画「BLOOD THE LAST VAMPIRE」を元にしている。映画は、制服姿のマッチョな女子高生が、剣を手に化物(バンパイア)と戦うというお話だった。

そしてテレビアニメ版「BLOOD+」。評価は良と悪の両極端に分かれている感じ。悪については、第1話の一発目のシーンから血みどろぐちょぐちょのグロ殺戮シーンを持ってきたことに対する批判が多いようだ。深夜アニメならわかるけど、土曜午後6時、ガンダムSEEDの後にこれはさすがにキツいだろうと思った。グロは方針らしいので、このあたりはこれからも物議をかもしていきそう。私の場合、自分が見るのは別にかまわないが、何かの拍子に子どもの目に入ることを考えるとやっぱ深夜でやって欲しいと思った。


全体の感想としては、「いまいちパッとしない」という感じ。それほど悪くはない。しかしグッと心を掴むものもない。どちらかと言えば冗長。目を見張るシーンや印象的な場面があったわけでもなく、かといってこれから先の展開を期待させる何かがあるわけでもない。

実を言うと、映画版の「BLOOD THE LAST VAMPIRE」でも同じようなことを思っていた。確かに動きはいい。しかしストーリーは単調だし、とにかく戦って戦って勝ちました、という映画だった。女子高生が剣を振るうカッコヨサ、兵器のカッコヨサを表現したかった、というのは伝わってきたが、それ以上のものがない。そのカッコヨサも強く印象に残るというほどでもなかった。面白くないわけではないのだが、特筆すべき点がない。そんな感じ。

テレビ版はそれに加えて冗長。いまいちテンポが宜しくない印象。伏線となりそうな登場人物が多数登場しているが、誰もがどこか「説明的」な印象を拭えない。まだ第1話なのだが、その1話目にして引きが弱いと感じた。


絵柄に関しては、映画版に比べてかなりアニメチックになっている。いっそのこと映画版と同じようにリアル志向にしてしまった方が面白かったのではないかと思うのだが。主人公の感じとか、細目眼鏡の影の実力者ぽいのとか、長髪ぽいセロ弾きイケメンとか。見た目が微妙にアニメアニメしていて、個人的にはちょっとしんどい。


このアニメを見ていて私の中で想起されたのが「十二国記」。いくつかの点でこの2作品は符合する部分を持っていると思う。主人公が女子高生。学校に化物が襲ってきて、謎の男に助けらる。そしてその男によって主人公は「覚醒」させられる。

十二国記の1話目の引きは見事だった。優等生ながら皆に交われない主人公の立場を表現し、すかさず化物の来襲。そして「許すとおっしゃい」の名台詞。畳み掛けるような物語の展開と、斜のかかった絵で、ぐっと強い印象だった。

対して「BLOOD+」の方は、同じような展開なのにぱっとしなかった。その差はどこにあるのだろうか。それとも差などなく、単に私がスレ過ぎて鈍感になってしまっただけだろうか。


いろいろと厳しいことを書いてしまったが、どうしても「攻殻機動隊」並みのクオリティを期待してしまうので。これがProduction I.Gの作品でなければもっと甘い評価を下していたと思う。名作を作り出せば箔も付くのだけれど、一方でとても重たい荷を背負ってしまう宿命なのだろう。って感想を書く側が言うべきことじゃないか。

ま、これから面白くなってくるのかもしれないし、ともかくしばらくは見続けてみようと思う。

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