コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

地獄の辞典

地獄の辞典

地獄の辞典

世界オカルト事典」に続くトイレの友。辞書形式の本はひとつの項目が短くてトイレには最適かもしれない。1冊読むのに半年から1年くらいかかるけど。その間ずっとトイレに置きっぱなしだから、トイレの友というよりトイレの主か。

原作者のコラン・ド・プランシーはその筋では有名な人のようで。「地獄の辞典」は「オカルト事典」よりも少し古い時代に書かれたもののようで、キリスト教的な色合いの強い本。主にキリスト教における悪魔について書かれている。しかし完全にキリストの神秘性におもねっているわけではなく、土着の宗教がキリスト教に取り込まれて邪教扱いになったとか、奇跡や霊、怪物、魔女などの話の多くが勘違いや人間が作り出した嘘である、という書き方もされている。一方で疑いなき神の神秘性や霊の存在も前提として書かれている。中世から近代、神秘から科学への移行期と言うべきだろうか。その混在とバランスの揺らぎがけっこう面白い。

悪魔については、数多く絵入りで記述されている。いくつかの悪魔が元は天使であったという「女神転生」的な記述もされている。挿絵付きなので女神転生シリーズに出てくる悪魔と設定ともども見比べていくのも面白いかも。

オカルト的な単語については、それに関する事件などの例をあげて書かれている。そのため悪魔の解説に比べて記述が長いものが多い。神の御業や悪魔の恐ろしさというよりも、人間の愚かしさをメインに書かれているといった感じだが。

少々だが日本のオカルトに関する項目もある。「テング」とか「シュゲンジャ」とか。みんな悪者になってるけど。

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言葉が与える腐敗と死

とりとめもなく、落ちもない話だが。

言葉というのは残酷なものだ。概念に名を与えてしまう。名が与えられた概念はその時点から時の流れに組み込まれ、腐敗しはじめる。その言葉が広まれば広まるほど、腐敗の速度は増す。「萌え」は(使い始められた当初とは違う意味で)口にするのも恥ずかしい死語となっている。「ツンデレ」や「セカイ系」「メガネっこ」なども使い古されてボロボロだ。ひっそりと息づいてきた概念たちが、言葉を得てメディアで使われはじめると同時に大衆消費の枠組みに放り込まれ、死んでいく。「アルファブロガー」とか「WEB2.0*1なんて言葉もすぐに「古い言葉」になってしまうんだろうな。

その言葉の腐敗が一番顕著だったのが「電車男」という言葉だろう。あらゆるメディアで取り上げられ、様々な作品にまで昇華されることにより、それは口にするのも憚られるような陳腐な言葉・・・概念になってしまった。

言葉は概念に力を与えるものであると同時に、概念をしばりつけ、時の流れの中に放り込む呪いでもある。


以前に友人とそんな話をしていたことを思い出した。

*1:ぶっちゃけ意味よくわかってないけど。