コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

蟒蛇(うわばみ)*

蛇の異名。ヤマタノオロチの逸話から、お酒に強い人のことをこう呼ぶことも。
蛇というのは、西洋においても東洋においても特殊な位置付けにある動物で、聖なるものとされたり、邪悪なるものとされたり、とにかく神格化されることが多い。ウロボロスやケツアルコアトル、ナーガなどは蛇がモチーフになっているし、マンティコアや鵺など、様々な怪物の一部としても登場する。

手足のないその姿、身体をくねらせて移動する様、毒を持ち人を殺すこともある、など、多くの点で人の意識をひきつけるのだろう。

蛇の呼び名について、以下のような記述を見つけた。

なお、古代和名では、大きい順に、大蛇を遠呂知(おろち)、次が宇波婆美(うわばみ)、その下は幣毘(へび)、一番小さいのを久知奈波(くちなわ)と呼んでいたようです。

「おろち*」「うわばみ」「へび*」「くちなわ*」、全て蛇の異名だ。大きさや場面によって呼び名が区別されていたらしい。「おろち」は「大蛇」、「くちなわ」は「蛇」とも記述するようだ。これだけ様々な呼び名があるというのも、人が古くから蛇に対して特別な扱いをしていたというひとつの証ではないだろうか。

ちなみに「おろち」の「お」は峰、「ろ」は接尾語、「ち」は霊力、また霊力あるものの意、らしい。一音一音に意味があるというのは面白い。ヤマタノオロチなどはタタラ製鉄や河川の洪水がモチーフになっていると聞いているが、言葉の上では河ではなく山に結びつくというのはちょっと不思議。