コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

EXIT

EXIT [DVD]

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リュック・ベッソン・プレゼンツ」作品。正直なところいままで見たリュック・ベッソン・プレゼンツで「これは面白い」と印象に残ったものがない。フランスの若手映画監督を支援して映画界に活気を注ごうという試みは評価したいところだが、一方で「自分で新作を作るのはメンドイから人の作品に名前だけ載せちゃえ」と思ってやってんじゃねーかという疑心も否めない。


で、「EXIT」。リュック・ベッソン・プレゼンツにしては珍しい(?)サイコミステリー。とある精神病院での患者の語りから物語が始まる。肩書きは別にしてちょっと期待して見始めた。

ちょっとグロい作品なのでそういうのが苦手な人にはお薦めしない。サイコ系だが、最後に種明かしの語りが長々とあるのでわかりにくいということもない。ヨーロッパのサイコネタということでもうちょっと荒々しい作品かと思っていたが、良くも悪くも意外に卒のない作品だった。特徴的なのは「音」で、スタニスラスの家でなにげに聞こえて来る幻聴がゾワゾワとくる。幻覚の場面などはちょっと面白いけど、新鮮味があるかというと微妙。

主人公のスタニスラス役の役者は微妙な立場のスタニスラスを、時に愚鈍に、時に知的に、そして時に狂気に満ちた表情で演じている。カッコイイというのとは少し違うが、印象に残る人。


中盤までは話がなかなか頭に入って来なかった。見逃してしまった字幕を巻き戻して見ようかどうかなどと益体もない逡巡を重ね、軽い眠気と戦いながら見ていた。しかし中盤から一気にテンションが高くなる。混乱する現実。敵か味方かあるいは実在か妄想かもわからない登場人物たち。加速度的に展開していく物語。

最後のタネ明かし直前まではなかなかいい作品かも、と思っていた。しかーし。

以下ネタバレ。


タネ明かしに失望。けっきょく妄想オチかい。ああいうオチを付けられると、それまでの話が全て無駄だったということになってしまう。まだ意味のある妄想ならいいだろうが、そうでさえない。単なる妄想。その妄想があるいは現実かもしれないという余地を残しているのならともかく、それさえもない。最後にどうなるのだろうかとハラハラドキドキしていたのに、悪い意味で完全に裏切られた。

最後は、実はトイレでスタニスラスが生きていて・・・とか、精神科医が事件をもみ消そうとしたが死の間際にスタニスラスがレコーダのスイッチを入れていて全てが暴露された・・・とか、そういう類のどんでん返しを期待していた。そこまでいかなくても、精神科医が全てをもみ消して理不尽な終り・・・の方が、後味は悪いにしても物語としては纏まったかもしれない。

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ちょっと試しに。