コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

スウィングガールズ

また竹中直人か!*1


ストーリーは単純明快。楽器を触ったこともないど素人高校生たちが、ビッグバンドジャズをやることに。

おおざっぱな感想

いやー面白かったですよ! 予想以上に面白かった。まさにエンターテインメント。テンポもいいし、緩急の付け方も上手いし、天丼もおいしいし、こっそりいろんなネタを仕込んでるところも面白い。

やはり音楽がテーマというのが大きいだろう。前作「ウォーターボーイズ」のシンクロナイズドスイミングも見ていてすげー、とは思ったけど、飽くまでも見ているだけだった。しかし今回のジャズは、見ているだけではなく、観客も一緒にリズムを取って音楽に入り込むことができる。劇場でも思わずリズムを取ってしまった人もいるんでないかな。

キャラ

各キャラの個性も立っている。わかりやすい性格づけ、そして「予想通り」それを微妙に裏切ってくれる展開。

飽きっぽくてちゃらんぽらんだけどいつの間にかみんなの中心になってる主人公の友子。一番やる気がなさそうだったのに男が絡むと急にやる気を見せるトランペットの良江。何にもしないんだけど、いつもみんなの後ろを支えているような気がするドラムの直美。気弱で引っ込み思案なのに、いきなりペットボトルへこませる関口。わがままそうなのに実は一番頼りになるギターとドラムの二人。そして見たままそのままのおぼっちゃま中村拓雄。みんないい味出してる。


ネタバレあります。

ウォーターボーイズと比べて

すでに何度か名前を挙げているが、どうしても比べてしまうのが、同監督の前作「ウォーターボーイズ」。基本的にパターンは同じ。ヘタレ素人集団が集まって、練習して、上手くなってラストに実演。役者自身が本当に練習して本当に実演しているところも同じ。

しかし前作よりも今作の方が数段こなれていて、見やすくなっていると思う。しつこくなく、テンポがよく、そして抑えるべきところを抑えている。

実演直前になってそれがダメになってしまうというところまで同じパターン。予定調和と、「予想通り」のどんでん返し。しかしその見せ方が上手いためか、繰り返しに対する嫌な感じはない。むしろ同じであることを狙ってやっているのではないかと思う。

ひとつだけ気になったのが、後から参加したメンバーがいきなり演奏ができてしまうところ。これはウォーターボーイズでも同じだったのだが、長い間ずっと練習してきた主人公達に、後から来たメンバーがあっさりと追いついてしまうというのがちょっとね。物語上仕方ないのはわかるけど。

月光の囁きと比べて

先日に見た「月光の囁き」とも比べて考えてしまった。これが同じ高校生なのか、と思うほどトーンが違う。エロのエの時も出てこない。恋愛についても、主人公の恋愛をほぼばっさりと切り落とし(?)、気があるのかないのかわからない微妙な線で押しとどめていた。前作ではなんだかわけのわからない恋愛が展開されていたが、今作のこのプラトニックな距離感は絶妙。

だいたい、中村拓雄は、男1人女16人のほとんどハーレム状態の中にいるのに、全然そういう雰囲気を感じさせない。ある意味凄い。そして拓雄はある意味かわいそう。

個人的に、青春モノはドロドロしてるよりもこういうすっきりあっさり熱いモノ・・・というか少年漫画モノぽい方がツボにはまってしまうみたい。

スペースチャンネル5

実はこの映画を見たいと思ったのは、劇中に「スペースチャンネル5」の曲が演奏されると聴いたから。いったいどんな感じなのか気になって気になって。ラストのコンサートの2曲目がそれです。「スペースチャンネル5」のメインテーマ、「メキシカン・フライヤー」という曲。

実は劇中で友子の妹が遊んでいたのが「スペースチャンネル5」。たぶん友子は、妹のゲームを無理やり売ってしまったことのお詫びにこの曲を選んだのだろう。劇中ではまったく、微塵もそのことに触れないし、そもそも会場に妹がいるのかどうかもわからないのだが、そういうマニアックなネタを仕込んでいるところにニヤリとしてしまう。

でもこれ、知らずに見てたらもっと衝撃的で、もっとウケたんだろうなあ。事前に知ってしまったのはもったいなかった。ま、それを知ってなかったらこの映画を見てなかったかもしれないけど。

ラストの盛り上げ

ギリギリのところで会場に滑り込むスウィングガールズ一同。みんなが焦りまくってるところで、「ちょっと待って」と勇気を出して声をあげる関口。音叉で調律をはじめる。普段気が弱くてなかなか声を出せなかった関口が、ひとこと、勇気を振り絞ることでみんなの平静さを呼び戻した。

演奏がはじまり、普通に手拍子をはじめる観客。その中で一人だけ、裏で手を叩いていたのは吹奏楽部の部長。皆がその裏の手拍子に合わせていき、会場全体が「ジャズのリズム」に・・・いや「スウィング」になる。

ソロに合わせて、機械工の二人がスポットライトを当てる。友子と拓雄が二人でセッション。トランペットとネズミ。ただ演奏するだけでなく、随所にイベントを仕込んで演奏を飽きさせないで見せてくれている。

でも最後にひとつだけ。竹中直人に気付いたらなら、ステージに呼んであげようよ。演奏できない人だとしても、彼の教えのおかげでスウィングに目覚めたのは確かなんだから。

最後に

間違ってライブ版借りてきたのは悪くなかったかもしれん。

媒体 DVD
もう一度見たい ○(ていうかもう見た。コメンタリーだけど)
劇場で見たい ○(大音響で聞きたいっすね)
最後まで集中して見れた 
他の人にも薦めたい
印象的なモノがあった
マニアック ×
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*1:いやべつに構わないんですけどね。言ってみたかっただけです。