コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

不思議な少年 (4)

不思議な少年(4) (モーニングKC (1471))

不思議な少年(4) (モーニングKC (1471))

今回は不思議な少年が情にほだされる話が多かったように思う。今回は、子どもの少年、女の少年など、少年が様々な顔を見せる。以下、ネタバレ。

最初の話は「全ての人に救いがあるか」という話。この答えに対して個人的には全面的に是とは言いがたい部分もあるが、しかし人の奥底には平穏を望む心が眠っていることは確かだろう。逆にどんな平穏な人の心にも鬼が宿っている可能性があることもまた事実に違いない。

ふたつ目の話。老人は少年を天使と見抜いているようだったり、蝶を呼び寄せたりと普通の人ならぬところを見せるが、けっきょくのところ何者なのかは語られない。こういう謎の作り方はけっこう好み。その老人が少年の目を「腐っている」といい技を見せ、不思議な少年がはじめて少年の顔を見せたのが印象的。最後に少年が思わず敵討ちのようなことをしてしまうのも意外。

最後の物語。少年がこういう血みどろを「導く」というのにはちょっと違和感がある。こういうものを蔑み、バカにし、それゆえに人を厭うてきた少年ではなかったか。それに、いくら面白いものを見たいという理由があったとしても干渉しすぎ。これではもう観察者ではなく、首謀者だ。しかも「女の心」まで見せてしまってメロメロ。物語としては面白いが、少年らしくなさすぎでちょっと納得いかなかったかな。