コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG - 08〜10

久々の攻殻2ndGIG。07を見たのは半年以上前だったような気がする。見れば面白いのだが、言葉や内容が複雑で集中して見ねばならないため、見始めるのに勢いがいる。とりあえず今家にある巻はこれで全て見終わったことになる。あと数巻、近いうちに借りてきて見ようと思う。


攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 08 [DVD]

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この巻はまったくといっていいほど戦闘シーンがない。どちらの話も「机上の談義」のようなもので、アクションにはかけるが、「機械たちの午後 PAT.」ではタチコマたちの意識という観点からゴーストの領域にメスを入れ、「そこにいること ANOTHER CHANCE」では、2ndGIGの要とも言える久世の過去について語られる。話数的にも2ndGIGのターニングポイントと言えるだろう。


第15話「機械たちの午後 PAT.」。タチコマたちの会話は、攻殻得意の複雑な観念論。ぼーっと聞いていると何を話しているのかさっぱり頭に入って来ない。真剣に聞こうとすると疲れるが、こういう言葉遊びが攻殻の楽しさのひとつでもあると思う。AIに意識は宿るのか、並列化の結果の個性、個性化の結果の並列化。これはもちろん意識の通信という特殊な環境下での例ではあるのだが、現代社会の個性の尊重と平等化の偏重のアンバランスにも通ずるところがあるだろう。

しかし最後の落ちは、ちょっと納得いかない。あんなことしたらジャミングされやすくなるし、深い地下などでは活動できなくなってしまうのではないのかしらん。


一方、第16話「そこにいること ANOTHER CHANCE」は久世の過去についての話。この逸話は少々とって付けたような印象も拭えないが、彼がなぜ個別の十一人となり、またそのウイルスに冒されつつも「自決」に抗ったのかがおぼろげながら明らかになっていく。彼が単なるテロリストの一人、単なる敵ではなく、一人の個人として描かれ始めた。個別化されていない個別の十一人の中にあって何故彼だけが個別化されたのか。その真相は今後の物語の核になっていくようだ。

ただ、こういう作品でカリスマを描いていくというのは難しいと思う。そこをどれだけ上手く描けるかでこのシリーズ全体の評価が決まるだろう。笑い男はカリスマとは言え本人不在のところで広まったカリスマ性だったので問題なかったが、今回は果たして。


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この巻はどちらも脱線話。


第17話「修好母子 RED DATA」は本筋と絡みつつも、話自体は素子の台湾でのソロエピソード。「素子に母性はあるか」というテーマで少年との関わりを描いている。常に冷静沈着な素子が、子どもの耳を引っ張ったり、警察を呼ばれて焦った顔したりと、いままでにない表情を見せている。「私にまだこんな感情が残っていたとはね」という言葉が表しているように、素子らしからぬ母性を発言させ少年を助けに向かう。

多くはないが、久々のアクションシーンも見られる。やはり「動」の部分があると話にメリハリが付く。。もちろん、「動」と「静」あっての攻殻であるわけだが、数話ぶりに素子の「動」を見ることでそれを再認識。

本編に関わるところとしては、久世がネットを媒介せずに人の心を捉えているという事実が明らかになる。電通が一般的となったこの世界では、ネットを介さずに人の心を掌握するというのが理解できないといった感じだ。


第18話「天使の詩 TRANS PARENT」。こちらは完全に番外編。ベルリンで「天使の翼」という凶悪テロリストを捕獲する作戦に参加する素子とバトー。誰もが思うテロリストのジレンマ、理不尽さを描きたかったのだろう。しかし天使の翼が何故そこまでしてテロを起こしたのかが語られず、ちょっと消化不良かな。典型的な悪役を仕立て上げ、バトーに正論を語らせるだけで終わってしまったような。最後にもう一捻り、実は娘は・・・みたいな展開があれば面白かったかもしれない。しかしこれはこれでしっとりとしたいい話なのかも。


攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 10 [DVD]

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いよいよ久世絡みの話が進んできた。独立宣言をする出島。国民が見てみぬ不利をする中で穏やかなる内戦がはじまる。


第19話「相対の連鎖 CHAIN REACTION」。9課のメンバーが久世を捕獲するために出島へと向かう。久世の中にダイブした素子は、その心に触れ激しい動揺を見せる。「私は彼を知っている」という一言。そういえば2nd GIGがはじまってから一度、骨董屋で素子の過去を見せるようなエピソードがあった。その中で少年が出てきたと記憶しているが、それが久世か。そんなこんなで揺らいでいる素子。そのために素子にあるまじき失敗を犯してしまう。

そして久世の目的が明らかに。話が大きくなってきた。

この回に、「電脳化していない人間をどうやって並列化しているかはわからないが」というゴウダの台詞があった。これは素子も同様のことを口にしていた。ゴウダの台詞はさらりと流されていたが、これが後々にほころびとなってゴウダの計画を狂わせることになってくるのではなかろうか。


第20話「北端の混迷 FABRICATE FOG」。久世が択捉にいるという情報を掴んだ9課はそちらへ急行。素子は旧知の情報屋クロルデンに会いに行くが、既に攻性防壁で殺害されていた。なんかちょっとショック。愛玩用アンドロイドが死体に抱き付いているのがまた・・・。

一方で久世はブツの取引。なぜか軍が介入してくる。その軍のロボをぶっ壊しまくるタチコマ。以前にボコボコにやられたのが嘘のように強い。まあ先回は武装を解除されてたからね。しかし問答無用で軍ロボをぶっ壊しているが、軍をあからさまに敵に回してしまっても大丈夫なのだろうか。

最後にいいところで話が終わる。珍しく撃つことを躊躇しているバトー。最近何かとヌルいね、バトーは。戦いに関してはもっと冷静な攻撃的なキャラかと思っていたけど。命を奪わずに無力化する射撃くらいはできるだろうに。


なんだか後半は単なるストーリー紹介のようになってしまったが・・・ともかく早く続きが見たいぞ。