コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

ゲームの悪影響とゲーム脳の悪影響

こうやって書いていると、私が「ゲームにまったく害はない」と主張しているように誤解されるかもしれないが、そうではない。ジャンルやモノによって差はあるとしても、ゲームの中には害になるものはあるし、やりすぎはどちらにしても良い影響はないだろう。それを否定するつもりはないし、むしろきちんと研究してはっきりさせて欲しいとさえ思っている。

しかし、「ゲーム脳」はダメだ。科学的な間違いや欺瞞、捏造によって研究者の主張したいことへの誘導が著しすぎる。恐怖を煽り、根拠のない事実を「常識」のように騙り、欺瞞と錯誤で人の心を誘導する。これはカルト宗教的なミスリードとほとんど同じだ。

しかもこれだけあちこちから反論があがっているのに、それに対して真摯に回答したところを見たことがない。講演会によっては「時間がないから質問は一人だけ」と、明らかに反論を封じ込めるようなことまでしている。あるいは、「ゲーム好きな人間がそれを擁護したいから反論している」という黒いレッテルを貼って反論を封じ込める。しかしそうではない。ゲーム脳が叩かれているのは「ゲームというジャンルを調べているから」ではなく、その実験方法や結果、そして結論への誘導に問題があるからだ。


ゲーム脳」の一般化は、「冷静なゲームの人体に関する研究」を阻害している。一部では「ゲーム脳」が信望され、それ以外の客観的な研究が、「ゲーム擁護」として叩かれる。また一方で「ゲーム脳」の愚かさを知る人は、ゲームと人体の研究をしていると言えば森氏と同じ畑の人間として認識されてしまう可能性が高い。「ゲームの人体に対する研究」自体がいぶかしみの目で見られ、その研究の地位自体が貶められているのだ。結果として、まともに「ゲームの人体に対する研究」を行なうことが難しくなっているのではないだろうか。これはゲーム脳の悪影響、ゲーム脳の罪悪と言うしかない。


と、また著書も読まずに批判してしまってる私がいるわけだが。よくないね。でもちょっと黙っていられなくって。