コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

THE BOOM - FACELESS MAN - 詞というよりは詩

THE BOOMといえばまず「島唄」や「風になりたい」などがあげられるが、彼らの本領はもっと別のところにある。皮肉と背徳と耽美の深遠からなる歌詞。いや、彼らの言葉は詞というよいり詩に近い。

特にこのアルバムはその傾向が強い。現実と諦観の狭間から生まれた言葉が、THE BOOMらしいリズムに乗って流れる。彼らのメジャーな曲しか知らない人であればあるいはあまりのギャップに抵抗を覚えるかもしれない。特に「真夏の奇蹟」「有罪」「雪虫」「18時」あたりで、一般的なTHE BOOMの価値観は打ち砕かれるだろう。

彼らの特徴であるジャンルのバリエーションも豊富だ。沖縄民謡風の曲からはじまり、ロック、ジャズ、童謡風、ポエトリーリーディングまで実に様々。

様々な変化を遂げていくTHE BOOMだが、その変化の通過点としてだけでなく、このときにしか作りえなかったであろうひとつの結晶として、このアルバムはひとつの完成形だと思う。