コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

ダイハイドロゲン・モノオキサイド


機能の「ゲーム脳の恐怖」に関して調べているときに見つけたレビューから。既にあちこちで言及されていて今更な感じもするが、面白いので引用。

この本を読んで「ダイハイドロゲン・モノオキサイド」という化学物質の話を思い出した。
掻い摘んで紹介すると、

この化学物質は無色、無臭、無味であるが、偶然吸い込んだことにより毎年無数の人が死亡している。
この物質は水酸の一種で酸性雨の主要成分であり多くの金属を腐食させる。
末期癌組織には必ずこの化学物質が含まれている。

原子力施設や化学物資製造、消火剤、動物実験、農薬散布にも使われている。
企業は使用済みのこの化学物質を大量に河川、海洋に投棄している。
多くの軍事施設には、後の使用に備えてこの化学物質が大量に備蓄されている。

さらに加えれば、「この物質が大量に集まると、家屋や道路などを破壊する。高音で熱すると気化し、爆発を起こしたり、触れた者に火傷を負わせたりする。純粋なこの物質は他の様々な物質を溶解する能力を持ち、時に人体にとっても有害である。」など。


答えは「水」。これは典型的な「言葉の力」の悪用の例だ。呪いとさえ言えよう。情報を悪意を持って抽出し、卑怯な言い方をするだけで、人間にとってなくてはならない物質がこのような悪印象のものになってしまう。

これに「少しの嘘」や「虚構の権威」が混ざればさらにその呪いは強くなる。その典型が昨日あげた「ゲーム脳」の話となろうか。


ここからは水についての余談。「ダイハイドロゲン」は「ジハイドロゲン」「ダイハイドロジェン」「ジハイドロジェン」など発音表記に多少揺らぎがある*1。この物体について検索で調べたいときには、上記のような複数のパターンで調べるといろいろ出てくるようだ。

また聞きかじりだが、水というのは、どこにでもありながら特殊な性質を持つ物質らしい。常温で液体、生物の生活温度の中で三態(気体、液体、個体)が存在する、凍ると体積が増える、-4℃で最も重くなる、強い溶媒としての能力(様々なものを溶かし込む)、分子量から推定した融点は-100℃、沸点は-80℃なのに、実際は0℃で氷から水になり、100℃で水から水蒸気になる、などなど。

この特殊だがありふれた物質のおかげで生物は生きている。不思議な話である。

関連サイト

*1:個人的には「ジハイドロゲン」の方が耳になれている。