コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

roomic cube

Roomic Cube~a tiny room exhibition
宿でぼーっとテレビを見ていたら、なんとなく唐突に嶺川貴子の「roomic cube」を聞きたくなった。学生の頃、小島麻由美の「二十歳の恋」とともにエンドレスで聞きまくっていたアルバムだ。普段人のこない実験室のスピーカーで延々と流したり、人がいるときはヘッドホンでずっと聞いていたり。

といってもCDは持っていない。当時まだ全盛だったMDに録って聞いていた。もうMDプレーヤーもないので、聞きたくても聞けない。田舎のレンタル屋にはさすがにもう全盛期のマイナーアーチストのアルバムなんて置いてないだろうから、どうしても聞きたければ買うしかない。しかし最近無駄遣いが多いので、さすがに買うわけにもいかない。

実験音楽のような、それでいてスタイリッシュな不思議な音楽。打ち込み系なのだが、単純なテクノでもない。生音を集めて加工したものと、機械的に作った音が絶妙に混ざり、そこに嶺川のやわらかいフレンチポップス系の声が乗っかり、嶺川貴子独特の世界を作り上げている。ただ綺麗なものを作るのではなく、遊び心をふんだんに盛り込んでいる。そういう意味では、声の質は似ていても、ひたすらスタイリッシュを突き詰めているカヒミ・カリィとは対極をなすかもしれない。

それ以降のアルバムは2、3枚持っているが、やはりファーストインパクトと聞き込みまくったということで、「roomic cube」への思い入れは強い。完成度も高いと思う。「レフト」「ライト」の掛け声や調子っ外れのリコーダーの音はまだ耳に残っている。荒削りに感じる部分もあるが、その微妙さがまた心地よい。その後のアルバムは完成度は高いのだが、冒険心が少し足りないような気がする。

聞きたいなぁ。