コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

窪塚洋介と麻


はじめて彼を見たのは『街』というゲームだった。『街』はサウンドノベルというジャンルのゲームだ。小説をゲーム風に、いや、ゲームを小説風に・・・どう言えば良いかよくわからないが、とにかく文章を読み進んでたまに出てくる選択肢を選んでいく類のものだ。ゲームブックのコンピュータ版と思っていただければ判り易いかもしれない*1。ゲームなので字だけではなく、映像も出る。ただし出るのは基本的に静止画のみ。また、サウンドノベルと名の通り、要所要所で効果音が入る。ただし昨今のゲームのように登場人物がしゃべったりはしない。あくまでも主役は文章。画像と効果音はそれを盛り上げるためのエッセンスに過ぎない。

で、その『街』というゲームに、窪塚洋介が「サギ山」というヘタレADの役で出ていた。当時はもちろん彼の名前など知らなかった。数年して、テレビでその顔を見かけ、「あれこの顔見たことあるぞ」と思ったらやはりサギ山君だった。それからしばらく、我々の間で彼は「サギ山君」と呼ばれていた。

そんなわけで、窪塚洋介には少々思い入れがある。奇異な言動や奇怪な行動が取りざたされるが、彼は彼なりに頑張っているんだと思う。ちょっと突っ走り過ぎ気味なのは否めないが、役者として面白い演技をするし、注目されるのはある意味芸能人のステータス、と個人的に大目に見てきた。そんな彼も、「I can fly!」依頼メディアへ顔を出すことがなくなってしまった。このまま没してしまうのはちょっと忍びない。


で、その窪塚洋介だが、はてなのキーワードのkeyword:窪塚洋介がちょっとおかしいと思ったのでこの記事を書くに至った。おかしいというのは、面白おかしいのではなく、眉根を寄せながら「ちょっとおかしいんじゃないの?」の方のおかしい、である。

ファンのイメージは中性的な俳優として見てる。
今風の微妙なキャラクター、ガングロ流行りに逆行した色白、力強い一重瞼。
(中略)
飛び降り騒動の時もやっぱりなという感じで、
大麻を褒める言動など窪塚洋介はどこかおかしい、
やっぱりトラブルメーカー、それが窪塚洋介のイメージとなってる。

まず「力強い一重瞼」ってところ。この画像見てもらえばわかるが、ばりばりの二重瞼。書き間違いかとも思ったが果たして一重と二重を書き間違えたりするものだろうか。

それともうひとつ、大麻の話について。直接彼が大麻について語っているところを聞いたことがないので、彼の発言の真意はわからないのだが、「大麻の利用」ということに関して言えば別段おかしな話ではない。大麻はマリファナの原料としての危険性を持ってはいるが、いままで大麻の茎や実は様々に利用されてきたし、現在でも七味唐辛子には大麻の実が入っている。ヘンプの有用性についてはさまざまでメディアが取り上げられているし、テレビでヘンプについてのドキュメンタリーを放送したりもしているほどだ。

ここでちょっと長くなるけど引用。

種、茎のみ、研究もしくは産業用に限って認められている。だが、麻は無限の可能性を持つ不思議な植物であることを知った。産業的に有効なだけでなく、活発な光合成による酸素の排出で、地球の環境改善さえ可能なのだ。
現状、大麻を扱うには免許が必要。戦前は多くいた麻の農家もいまや約100世帯に減った。いったい大麻とはどんな植物なのか?僕は大麻の真実を知りたくて大麻研究の第一人者、中山康直さんに会いに行く。彼の住む大島へ向かうことにした』(洋介ナレーション)


中山さんは独自に産業用大麻の研究開発を20年近く行っており、大麻(ヘンプ)製品の普及に努めている。麻そば、ヘンプソルト、唐辛子、タオル、バッグ、クッションカバー、ジーパン、Tシャツ。
麻は万能で、化粧品からプラスチック製品、ディーゼルエンジンを動かす燃料にもなるらしい。しめ縄、鈴紐、横綱の化粧回し、たこあげの紐、かつお一本釣りの紐まで。耐久性があり、伝達性がある麻。伝統的には日本は麻の土地。


「石油は人間が使うまで2億5千万年もかかるが、麻(ヘンプ)は1年。人類の生活をサポートしてくれる素材、資源。もし、EUの土地の12%に麻を栽培したら、その年の全世界中の紙がまかなえるという公的データがあるんですよ。ということは、紙にいたっては、もう森林を一本も切らなくいいということなんです」と、中山さんは言う。
そして、洋介くんは大島の為朝神社へ。役行者(えんのぎょうじゃ)像が奉られている洞窟も体感。


麻=大麻=ヘンプ(HEMP)は建材としても注目されている。ということで、都心へ戻り、麻の建材を使って内装を手がけているTom Craftを訪れる。麻の壁には癒しの効果があるそう。ヘンプの場合は1年で大きく育ち、成長が早いので色んな形で建材として利用できる可能性を持っているらしい。

要は、成長が早く様々なことに利用できるヘンプを使えば、木を伐採しなくてもよくなる、という話。「ヘンプ」で検索するとそういう話をしてるサイトがたくさんヒットする。


もちろん、彼の大麻に対する発言は変だ。どういう文脈で言ったのかわからないのでなんとも言えないが、「大麻が光合成するといい磁場が出る」「いわゆるバイオエネルギーで…」などという発言は私にも理解不能だ。彼の言葉が悪かったのか、そもそも彼の認識がどこか間違っていたのかは知ることはできない。しかし少なくとも「大麻の有効利用」を主張すること自体は批判されることでもなんでもない。だが実際には、メディアも人々も「大麻」という言葉にだけ過剰反応して、まるで彼が「みんなで大麻を吸って気持ちよくなろう」とでも主張したかのような勢いだ。少なくともメディアにいる人間が「大麻」という言葉だけでそういう批判をするのはあまりにナンセンスだし、「大麻礼讃」などという造語を作り出すことは愚かしいを通り越して滑稽でさえある。


けっきょく私は、窪塚洋介擁護がしたかったのではなく、大麻擁護がしたかったのかもしれない。私も大麻礼讃とか言われちゃうのかな。でも大麻が光合成するといい磁場が出るなんて思ってないですよ。光合成すれば電気が発生するのだから磁場も出ようが、その磁場にいいも悪いもなかろう。彼は何故それを「いい磁場」だなんて思ったのだろうか。


ちなみに「じゃあキーワード直せばいいじゃん」という突っ込みは勘弁してください。そこまで彼に入れ揚げているわけではないし、そもそも今の彼を見ているとどう直していいかわからん。

関連サイト

*1:余計わかりづらいか・・・。