お題グループのg:odaid:exhum「落花の公園」を読んで、久々に「石」について思い出したのでそのことについて少し。
昔から貴石、宝石には興味を持っていた。その神秘性に惹かれた、などというとあまりに陳腐でこそばゆいが、その見た目、形、色、そして名前に魅力を感じていたのは確かだ。それぞれの石にあるといわれる不思議な力とやらにも興味があった。それらの力を心から信じるわけではないが、お守りや縁起のように、「そういうこともあってもいいかもしれない」程度の気持ちはあった。
はじめて手に入れたのは、定番の「水晶」だった。とある雑誌の全員プレゼントで手に入れた透明な水晶は、冷たく滑らかで、なるほど魔を浄化するなどと言われるのもなんとなく納得できた。月に当てると清められるとか、疲れているときに触れると心を癒すなどともっともらしいことが書いてあった。信じるわけではないが、なんとなくその通りにしてみたこともある。しかし期待していたほどの効果は当然なかった。私にとって水晶とは単なる「モノ」以上のものにはなりえなかった。しかし時折取り出して見るその透明な姿態は、見ているだけでも心地のよいものではあった。
次に手に入れたのはブラックオニキスだった。みやげ物屋で売っている霊験もなにもあったものではないキーホルダーだ。どこのみやげ物屋だったかは忘れた。すべての光を吸い込んでしまうような透明感のない漆黒の、滑らかで冷ややかな質感の石だった。あまり加工されておらず、歪な形をしていた。その名前ともあいまって、私は興味をひかれ、その石を手にした。ひやりとした感触もまた良かった。石などというものはそもそもひやりとしたものだが、ブラックオニキスはその黒がまるで熱を吸収してまうかのような錯覚を私に与えた。中指の爪ほどのその小さな石のついたキーホルダーは、それからしばらくの間、私のポケットに居続けることになる。*1
ブラックオニキスの効果は「勇気」だそうだ。勇気というものが欠落している私にとって、その効能もまた魅力的なものだった。実際に効能があったかどうかは推して知るべし。
何かの拍子にそのブラックオニキスを失ってしまった。私は再びブラックオニキスを手に入れるために、みやげ物屋を巡って同じような石を探した。しかしブラックオニキスはなかなか売っていない。売っていたところを見つけても、加工された丸いものであったり、比較的大きなものしか置いてなかったりと、以前手に入れたものとは少し趣の違うものばかりだった。何件か店を巡ったがけっきょく気に入ったものが見つけられず、私は比較的大きな石を買うことで妥協した。しかし大きすぎるその石に対して、以前のそれのような愛着を感じることはできなかった。程なく、私はそのブラックオニキスを外した。
その後また石が欲しくなり、今度は緑色の石を買った。石の名前はよく覚えていない。おそらくアベンチュリンかマラカイトだろう。リラックス効果があると書いてあったからマラカイトだろうか。これにもあまり愛着は感じられなかった。そして今は何の貴石も身に付けてはいない。
貴石、宝石については、その名も興味の対象だった。英語名の由来も興味があるが、和名、漢字名と対比してみるのも面白い。覚書がてらそのいくつかを記述しておく。*2
ちなみにパワーストーンという呼び名はあまり好きではない。なんとなく軽薄だ。「貴石」という呼び名が良い。
アイオライト | 菫青石 |
アクアマリン | 藍玉、緑柱石(の一種) |
アゲート | 瑪瑙 |
アベンチュリン | 印度翡翠 |
アメジスト | 紫水晶 |
アンバー | 琥珀 |
エメラルド | 翠玉、緑柱石(の一種) |
オニキス | 瑪瑙、縞瑪瑙 |
オパール | 蛋白石 |
オブシディアン | 黒曜石 |
ガーネット | 柘榴石 |
カーネリアン | 紅玉髄 |
キャッツアイ | 猫目石 |
クリスタル、クウォーツ | 水晶 |
コーラル | 珊瑚 |
サファイア | 青玉 |
ジャスパー | 碧玉 |
ジェード | 翡翠、硬石 |
シトリン | 黄水晶 |
スモーキークウォーツ | 茶水晶、煙水晶 |
ターコイズ | 土耳古石 |
ダイアモンド | 金剛石 |
タイガーズアイ | 虎目石 |
トパーズ | 黄玉 |
トルマリン | 電気石 |
マラカイト | 孔雀石 |
ムーンストーン | 月長石 |
パール | 真珠 |
ブラックオニキス | 黒瑪瑙 |
ブラッドストーン | 血石 |
フルオライト | 蛍石 |
ヘマタイト | 赤鉄鉱 |
ペリドット | 橄欖石 |
ベリル | 緑柱石 |
ラピスラズリ | 瑠璃、青金石 |
ルビー | 紅玉 |
ローズクォーツ | 紅水晶 |
雲母 |
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