機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙

機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙 (DVD同梱版)

先日書いた、友人からの借り物。なんとなくいままで手をつけずにいたが、やりはじめてみると案外に面白かった。もっと難しいゲームかと思っていたが、操作は単純かつ明解で、難易度もそれほど高くはない。最初のストーリーモードなどはさくさくとプレイしてけっこうあっさりとクリアできてしまった。まあ、ガンダムが強いからなんだろうけど。

ゲームはタイトル通り、ガンダムの映画三部作の３つ目、「めぐりあい宇宙」に従って進んでいく。アムロとなって連邦軍に加わり、ジオン軍と戦っていくのだ。タイプとしては3Dシューティング。宇宙空間（時にコロニー内や月面）で、敵の殲滅や艦の護衛、敵艦の撃沈などのそれぞれの面に応じたミッションをこなしていくことになる。要所要所でアニメやカット、台詞が入り、ガンダムな雰囲気を盛りたててくれる。「やらせはせん、やらせはせんぞ！」や「あれは・・・いいものだ」などの名台詞もきちんと入っており、なかなかよくわかっている人が作っているようだ。さらに、きちんとエンディングまで作ってあるので、好感度高し。

またメインのストーリーモードのほかに、オリジナルのストーリーモードも準備されている。また、歴戦のエースパイロットを追体験できるダイジェストモードなども準備されていて、シャアやコウとなってプレイすることもできる。他に、キャラや機体を選んで対戦するVSモードや、新キャラを育成するモードなども準備されていて、選り取りみどりだ。登場する機体も、旧シリーズのものからOVAのものまで、かなりの数が準備されているようだ。

ただし、例のごとくオリジナルモードはしょぼい。なんというか、ガンダムぽくない。ルパン三世のときにも話したが、こういう名作の続編や関連モノを「それっぽく」作るとういのは非常に難しいと思う。「Zガンダム」と「逆襲のシャア」はありとしても、OVAものはみなガンダムぽくない。設定や見た目は似たようなものが作れても「雰囲気」が踏襲できないのだ。このオリジナルモードに関しても同様で、なんだかしっくり来ない。

そもそもガンダムのガンダムっぽさとはなんだろうか。そのひとつは、登場キャラたちの言い回し、だと思う。古臭いとさえ言える軍人然とした堅い言い方や、文脈でしかわからない極端に短い台詞など、いかにも「ガンダム」ぽい言葉がたくさんある。女性キャラの「〜なのではなくて？」などはその最も顕著な例だ。台詞だけではなく、声優の喋り方にも特徴がある。その典型はやはりシャアだろう。あらゆる意味でシャアなくしてガンダムは語れない、などということはいまさら言うまでもないとは思うが、このゲームをプレイしてそれを再認識した。シャアはやはり良い。

私のプレイを横から見ていた相方が「難しい話だ」との感想を漏らした。「子供の頃に見ててこれ話しわかった？」と尋ねてくる。ガンダムを見ていた当時、私はまだ小学生だった。そんな子供にこの複雑な話がわかるはずがない。ジオンは悪で、連邦が正義だと単純に思っていたし、ザビ家とシャアの関係なども全然わからなかった。単にロボットが戦っててかっこいい、くらいにしか思っていなかった。

ガンダムの描いている内容についてきちんと考えられるようになったのは大人になってからのことだ。戦争の意味、政治の腐敗、シャアの理想と立場。そういう小難しい話を小学生くらいの子供に理解しろといってもまずむりだろう。それを子供向けのアニメとして提示したというのは、ある意味画期的であり、またある意味無謀だったと思う。ガンダムを見ている子供はまさに「アムロ」であり、わけもわからず連邦を正義だと信じていた。しかし子供はいつかアムロからシャアになり、大局を見る目を身につけていく。そういう奥深さを、意図的にか、無意識にかわからないが、ガンダムは体現していたと思う。

さてゲームの話に戻ろう。少し苦言を呈しておくと、ゲームでのモビルスーツの挙動がかっこよくない。戦闘中は動きが速いのでどうでもよいのだが、ガンダムの発進時のデモがしょぼい。カタパルトで射出されるのだが、何の重みもなくつつーっと飛ばされていく。宇宙だから重力ないのはわかるけど、せめて腰を落として発進の瞬間にジャンプ、くらいはして欲しかった。

あと、アムロやシャアなどのニュータイプは、敵に狙われると「キュピピピピーン」と例の効果音が鳴るのだが、敵が多くなると、これが連続で鳴りまくってちょっと興ざめ。

総評としては、最近のガンダム系のゲームとしてはシンプルでなかなか面白い。最近ガンダム系ゲームは難しいものが多く、どうにもとっつきにくかったので、こういうシンプルなものは有り難い。おまけもそこそこ多く、もうしばらくは遊べそうな感じだ。