コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

いろいろいらいら

これは本当にただの日記なのです。

なんだか夕方から体がダルくて、夜にいらいらしてしまった。何がどうというわけではないのだが、どうでもいいことでいらいらする。だいたいは自分の失敗や不器用さが原因でいらいらするのだが、性根が悪いのですぐにモノやヒトに当たってしまう。

夜、子がパズルの部品をなくしてしまい、相方と一緒に探していた。子はそのパーツを持ってストーブの側で遊んでいたし、普段からストーブの後ろの穴にモノを突っ込むのが好きだったので、ひょっとしたらその穴の中に部品が落ちているかも、という話になった。しかし隙間から覗いてみる限りではそれらしきものは見当たらない。いや、一瞬見えたかと思うことは何度かあったのだが、ストーブを傾けて取り出そうとするとなくなってしまう、ということが何度かあった。

すぐに必要なものではなかった。そもそもストーブの中にパーツが入っているという確信もなかった。しかしこのまま放っておいて、冬になりストーブに火を点したときに中にパーツが入ったままだったら、溶けたり燃えたりしてしまうのでは、という不安が二人の頭によぎっていた。

こうなったらストーブを分解して調べてみよう、ということになり、ドライバーを握って分解作業に入った。ストーブなんて分解したことはない。そもそも簡単に分解なんてできるのだろうか。疑心暗鬼のまま、とりあえず見えているネジを外していく。見えているネジを全部外したがどうやってバラしていいものかわからない。とりあえずあちこち引っ張っていたら、天板がスポンと取れた。ペンライトで隙間から中を覗いてみる、と、あったあった。スポンジでできたパズルのパーツが隙間に落ちていた。それだけではない、最近行方不明になっていたプラスチックの短い棒のおもちゃも中に入っていた。

しかし棒を穴に突っ込みたがるというのは、動物としての本能なのだろうか・・・。閑話休題。

相方を呼び、探し物が見つかったことを告げるとものすごく喜んでくれた。そのとき、ストーブの隙間を覗き込もうとした相方がバランスを崩し、足元にあったドライバーを入れるプラスチックケースを踏んで粉砕・・・。いや、そのときはまだイライラしてはいなかった。

なんとかパズルのパーツとプラスチックの棒を救出した。本当はもう1本、プラスチックの棒が行方不明だったのだが、それは見る限りではストーブの中には見当たらない。他のどこかに紛れているのだろう、ということにして、ストーブの組み立て作業に移った。

相方は、子の面倒を見ていたので、私ひとりで組み立て作業をすることになる。しかしこれがいけない。まず天板がはまらない。あっちを抑えればこっちが浮く、こっちを抑えればあっちが上がる。そんなことをしているうちに、あっちもこっちも全然はまらなくなってしまった。この涼しいさなかに汗だくになりながらナニやってんだ俺は、と焦りと自分の不器用さから苛立ちが募ってくる。少し叫ぶ。だがまだ序の口。相方は子を寝かしつけに奥の部屋に入っていった。

どうにかこうにか天板を押し込み、ネジを締めにかかる。わりと順調にしまっていくネジ。しかし最後の一本がどうしても入らない。見ると、奥の方の鉄板の穴が明らかにずれている。奥の板をぐっと持ち上げながらネジを差し込まないと入らない。しかしひとりではどうにも無理な状況だった。ここでまた苛立ちメーターアップ。こんなの、子が寝てから二人でやった方が効率がいいに決まってるじゃないか。そもそもこんな夜にやるのが間違ってる。我ながら理不尽な怒りがこみ上げる。

割り箸を使ってどうにか奥の鉄板を持ち上げ、なんとかかんとか最後のネジを締めた。これでストーブは終わり。さてドライバーをしまおうかと思うと、今度はドライバーのグリップが抜けない。普通なら軽くすぽっと抜けるはずのドライバーのグリップが、引っ張っても引っ張っても抜けないのだ。衝撃を与えたら外れるかも、と思い、手近にあった折りたたみテーブルの角っこにドライバーを打ち付ける。なんどんかそうやっているうちにどうにかグリップは外れたが、テーブルの方も無傷とはいかず、表層がはがれて砕け、粉となって落ちていた。

さてさて今度は、さっき相方が踏み割ったドライバーケースの修復。最初はセロハンテープで直そうかと思ったが、接着剤があったことを思い出し、そちらを選ぶ。これが間違いだった。けっこう前に買った接着剤だったので、口の部分が固まっていて中身が出てこない。そこで、入り口の固まった部分をティッシュでこそぎ取り、爪楊枝を突き刺して中身が出るようにした。当然爪楊枝は接着剤まみれ。さあ接着剤を割れた部分に塗ろう、と、爪楊枝で接着剤を部品に塗ろうとした。そのとき、阿呆な私は爪楊枝を反対向きに掴んでしまったのだ。手にべっとりと接着剤がつく。あまりの自分のアホさ加減に怒りが頂点に達し、思わず吠えてしまった。

何事かと奥の部屋から相方が飛び出してきた。相方のせいじゃない、とはいいつつも、こんな夜中にストーブを分解させて、とか、ドライバーのケースを踏み割らなければこんなことにはならなかった、とか、脳内責任転嫁がはじまっていた。当然言葉もきつくなる。一方で、母親にほっぽり出された子が大泣きをはじめる。二人のわがままな男相手におろおろする相方。「こっちは大丈夫だから」ととりあえず相方を子の元に戻らせた。

とりあえず手についた接着剤を落とそうと手を洗うが、洗えど洗えど粘着性が落ちない。むしろ濡らすとよけいにべとべとしてきたような気さえする。ドライヤーで乾かしてみてもたいして効果がない。またいらいらしながら洗剤で何度も手を洗っていた。そこへ、子を寝かしつけ終えた相方がやってきた。とりあえず多少は落ち着きを取り戻していたので、さっきのことを謝った。相方は怒った風でもなく、「接着剤ならマニキュア落としで落ちるよ」と教えてくれた。言われたとおりにマニキュア落としを使ったら、あっけなくねばねばが消えた。

落ち着いてから考えると、なぜそんなに興奮していたのか理解できない。そもそも落ち着いて行動すれば避けられた失敗だ。己の責任以外の何者でもない。なのにいらいらしていると責任転嫁してしまう。己の卑小さを痛感する。それに対して相方は冷静に対応してくれた。冷静に対応してくれたからこそこちらも落ち着きを取り戻せた。ありがたいことだ。

こんなふうに、私は時折火のついたような怒りをぶちまけてしまうときがある。相方や子への暴力などはないが、それでも相方はそういう私を「怖い」と言っている。もっともだ。もっと冷静で落ち着きのある人間にならねば。

自戒も込めて、ここにその己の恥をさらしておく。