コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

モスと「しらせ」

朝っぱらから何故かモスバーガーが食べたくなった。不思議と相方も同じ事を考えていたらしく、モスで朝食をとることにした。天気もよいし、どうせなら外で食べようということで、買ったハンバーガーを持って港へ向かった。敷物を持ち出し、子とハンバーガーを携えてちょっとしたピクニック気分だ。港には最近できた芝生の公園があり、そこを目指すことにした。

しかし、9月の朝といっても日は高く、気温も高い。私達は公園内で木陰を探して少し歩いたが、背の低い木ばかりで木陰と言えるようなものはほとんどなかった。それでも、スロープの途中のほんのちょっとした木陰を見つけ、そこに腰を落ち着けることにした。

ちなみに私が買ったのは期間限定のマスタードチキンバーガー。CMを見ながら一度食べてみたいと思っていた一品だ。相方は定番のモスバーガー。私のマスタードチキンを見ながら、「それにすればよかった」とぼやいていた。後は、サラダセットとオニポテセット、それにチキンナゲットと、子のために買ったコーンスープ。合計1800円。朝からこの値段はちょっときつい・・・・・・。モスは美味いのだが高い。高いけれど美味いのでたまに食べたくなる。しかし注文して値段を聞くとその高さ後悔する。ひとり900円も出せば、定食屋でけっこうなものが食べられる。それでも、やはりたまに無性にモスのハンバーガーが食べたくなる。そんな妙な魔力がモスにはあるような気がする。

ともかくその買ってきたものを広げ、子のための食べ物も広げた。子の食べ物は、バナナとレトルトのご飯、それにパン半切れ。まずはバナナをむいて持たせる。1本まるごとはさすがに無理だが、半分以上は自分でもしゃもしゃと食っていた。

私達もそれぞれにハンバーガーなんかを食いながら海の方を見てみると、なにやら巨大な船が向こう岸の岸壁に接岸している。よく見るとこちらの岸にもあちらの岸にも、たくさんの人がその船を見学しにきているようだ。船の横っ面には白い文字で「しらせ」と書いてある。聞いたことある名前だ。南極観測船? でも太平洋側でもない鳥取にそんな船が来るのだろうか。だいたい「しらせ」って南極観測船だっけか? 旗の雰囲気から自衛隊がらみの船のようにも見えた。でも自衛隊の船なら機銃くらいついていてもよさそうだが、そんなものは見当たらない。知識が中途半端ではっきりしたことはわからず、相方とふたりで首をかしげていた。

しばらくすると、船が汽笛を幾度か鳴らし、放送で何かを言いはじめた。どうやらこれから離岸するらしい。見物客はこの出航を見に来ていたのだ。2隻の小さな曳航船が、巨大な「しらせ」を横向きに引っ張っていく。あんな小さな船で「しらせ」が動くのだろうかと思って見ていたが、ゆっくりとだが着実に「しらせ」は岸壁を離れていった。水の上だからこそできる芸当だ。

見ていてじれったくなるくらいゆっくりとした動きで、「しらせ」は2隻の曳航船に引かれていく。ある程度岸から離れると、今度は曳航船の一方がロープで引き、もう一方がへさきを「しらせ」に押し当てて、その巨大な船体を回頭させはじめた。「しらせ」が180度回ると、いよいよ出発のようだった。汽笛を何度か鳴らし、船が出港していく。船の方では、白い制服を着た船員が一列に並んで、岸壁まで見送りに来てくれた人たちと向き合っているようだった。

そして、「しらせ」は鳥取の港を出航した。

ほんとうにたまたま出くわした光景だった。たまたま朝モスバーガーを食べたいと思い立ち、たまたま港に行こうという話になって、行ってみたところでそんなシーンに出会えた。何の前知識もなかったが、それがめったに見れない光景だということだけはよくわかった。こんな朝っぱらから外でご飯を食べるためにでかけたことなど一度もなかったのだが、眠たい目をこすって出かけただけの甲斐はあったと思う。


家に帰ってから調べてみたところ、やはり「しらせ」は南極観測船、砕氷艦ということだった。しかも自衛隊所属ということで、私達の推測はどちらもあながち間違いではなかったというわけだ*1。2007年には引退する予定の「しらせ」。ミーハーっぽいかもしれないが、リアルで見れたのはちょっと嬉しい。

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*1:推測ではなく、常識として当然知っておくべきことなのだろうが。しかしまさか日本海側の鳥取に来るとは思わなかったので、それとは断定できなかったのだ、と言い訳しておく。