コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

電車男の書籍化

えーと、寝不足なので文章がまとまらんのだが、書きたかったことなので書いてみる。支離滅裂になってもご容赦を。

書籍化という話だし、そろそろ話題も落ち着いてきたと思うので、言及してみる。電車男について。

2ch発のほのぼの恋愛話としていつのまにかネットで話題になっていた電車男。既婚者のくせに独身男性板を見ていた私は、電車男登場時からリアルタイムでその話を追いかけていた。ゆえに、たぶん他の人たちよりも少しだけ電車男への思い入れは強いと思う。

私も今でこそ結婚できているが、元々びっくりするほどもてなかった男なので、あそこの毒男と呼ばれる奴らの気持ちはよくわかる。そういう奴らの成功談を読んでいると、嬉しいやら、懐かしいやら、応援したいやら、羨ましいやら、妬ましいやら、とにかく複雑な気分になった。そんなわけで電車男についても、感動とか泣けるとかではなく、かつての自分の姿を重ねるような気持ちで見ていた。最初は、ね。

電話ひとつかけるのに悩み、悶絶していた電車男。うんうん、その気持ちわかるぞ、と思いながらもそこはやはり人事。どうせ電話かけなければ終わりなんだからかけてしまえ、と無責任なことを思ったりもしていた。

しかし、電車男は私の予想を越えた成長を見せはじめた。服装を変え、髪型を変え、秋葉系から抜け出してエルメスとの仲を深めていった。頑張れという思いと、一抹の寂しさ、そして羨ましさ。応援はしていたけど、上手くいって欲しいとは思っていたけど、本当にそこまでとんとん拍子にうまくいくなんて思っていなかったさ。

あの二人の会話って、素朴でそれでいてどことなく小粋で、陳腐な言い方だが、本当に小説の中のやり取りのよう。「おめかししていきますので」とか「実はかまかけてたんです」とか、素の会話でそんな台詞が出てくるってのはすごいなーと。物語の中で考えたってそんな台詞なかなか出てこないって。

しかし電車男の話が次第に独身男性板以外でも話題になっていくことには一抹の不安を感じていた。もともと毒男というもてない奴らの特殊な閉じた世界での話だったわけで、それが一般に知られていくということがとにかく不安だった。毒男たちの共感のようなもので支えられた世界に、それを理解しない者が入ってくる不安。また、ある意味「あまりにもよくできた話」なので、「ネタだ」なんて言い出す奴が絶対にいるだろう、と。案の定、電車男関係のスレは大荒れしはじめた。終盤は荒らしと煽りと批判とネタ扱いと「感動しました」で、もう錯乱状態だった。

そこに火に油を注ぐような、電車男のエロ暴露。あれは素朴で経験不足な上にエルメスにOKを貰って脳みそが天に飛んでた電車男と、ネットをよく知らないエルメスとが、スレの荒れた勢いもあって先走っちゃったんだと思っている。個人的には「あちゃー、やっちゃったなぁ」とは思っても、別に悪い印象はなかった。

しかし「感動」を求めてやって来た人にとっては、あの書き込みは「余計なもの」だったらしい。今度は「幻滅しました」なんていう批判の嵐。別に電車男は読んでる人を感動させたくて書いてたわけではないんだよね。応援してもらったことへの恩返しとしての実況報告しただけ。そもそもあのスレの元になった「後ろから撃たれるスレ」はそういう暴露して、読んだ毒男を鬱にするのが目的であったわけだし。

そんなこんなでいろんな感想、批判が入り乱れた電車男の話だったが、今回どうやら書籍化となったようだ。書籍化に関する是非は個人的にはあまり気にしていない。「マジかよ」と思うところもあるが、これだけ話題になってるんだから本くらい出るだろうとも思っていた。電車とエルメスが認めてるんならいいんじゃないか、くらい。むしろ、その周辺の反応の方を気にかけてしまった。「あー、また批判とか吹き荒れるんだろうな」「中の人が叩かれるんだろうな」といらぬ心配をしていた。実際、批判の声はけっこう上がっているようだ。「感動話で金を稼ごうなんて汚い」とか「中の人が書いたものでもないのに出版するのはおかしい」とか。関係ないじゃん。批判している人は中の人以上に電車男に関係ない人たち。中の人は個人的にも電車と知り合いになってるみたいだし、そこに他人が口を出す必要なんてないと思うんだが。

まあとりあえずえーとけっきょく何が言いたいかというと、とにかく電車男エルメスが末永く幸せであってくれればそれでいいです。これだけ大々的に恋愛話の詳細を世間に暴露してしまった素人カップルというのも珍しいし、いろいろ大変なこともあるとは思うけど、天然の二人だからそれも笑いのネタにしながらのんびりやっていって欲しいです。

って、けっきょく私も「感動しました」って言ってる人たちと同じような結論になってるな。