コトバノウタカタ

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オペレーターズサイド

オペレーターズサイド PlayStation 2 the Best
音声で指示を入力するバイオハザードタイプのアクションアドベンチャーゲーム。ウェイトレスのリオに音声で指示を出し、正体不明のエイリアンと戦いながら宇宙ステーション内を探索していく。ストーリーはこんな感じ。

パーティ中の宇宙ステーションに、突然正体不明の怪物が現れて、人間を食いはじめた。恋人とともに逃げ惑う主人公だったが、その恋人ともはぐれ、気を失ってしまう。気が付くとオペレータールームにひとり、閉じ込められていた。その主人公に話し掛ける女性の声。モニターを見てみると、ウェイトレスのリオがオペレーターに呼びかけていた。

このゲーム、存在はわりと知られてると思うのだが、世間での評判は、良も不良もあまり聞かない。たしかに音声デバイスというのは入り込むのに少し躊躇するかもしれず、実際にはあまり売れていないのかもしれない。でも廉価版も出てるし、そこそこ売れているのかな。私は発売してすぐに、どうしてもやってみたくなって新品で買ってしまったわけだが。

プレイする前は音声入力でちゃんと動くんだろうか、とか、まともにゲームになるんだろうか、なんて危惧していたが、音声認識率はわりと高く、ゲームとしての完成度も悪くはない。素直に「良いゲーム」といっていい出来だと思う。

ゲームは探索パートとアクションパートかならなっていて、どちらもほとんど全ての操作を音声入力で行う。プレイヤーが操作するのは、たまにある「ロックを外す」操作程度。戦闘中は完全に音声のみで入力。「よけて、腹、撃て」とか言うと、リオが指示どおりに動いて戦う。

まずアドベンチャーパート。これって入力は音声になっているが、実際にやっていることは昔懐かしのテキストアドベンチャーゲームだ。しかもコマンド選択肢型ではなく、パソコンなどであったコマンド入力式のそれ。懐かしい反面、斬新でもある。3Dアドベンチャータイプでコマンド入力式、というのははじめてかもしれない。しかも、けっこう多彩な語に対応し、反応も様々。それも一人で調べているのではなく、リオとの擬似コミュニケーションでやっているので、ボケツッコミなんかもあって、どんな言葉に反応するのかといろいろ気になって調べてしまう。じっくり調べてると、一番最初の警備室だけでも1時間くらい遊べる。

反面、テンポはひじょーに悪い。リオの台詞はすべて音声。字幕もなし、キャンセルもなし。さっさと話を進めたい場合は余計な調査をしなければ済むのだが、それでも必要最低限の会話は聞かなければならないので、早く進めたい人にはじれったいと思う。特に途中で死んでセーブポイントからやり直し、なんてときに長い台詞が入ったりすると辛い。

音声認識に関しては、かなり高精度だと思う。ただし、登録されている語に限ってのこと。登録されていない語を入力すると、それに近い語と勝手に判断して行動しはじめるので、意図せぬ動きをされて焦る。「○○調べて」と命令してるのに「出口ね」とか返事して外に出たり、場合によっては「回復ね」とかいって勝手に回復アイテム使ってしまったり。音声認識率を上げるためには誤判断は仕方ないのだろうけど。

戦闘に関しては、音声入力で戦うってのはかなり斬新。音声でアクション、はこれがはじめてなのではないだろうか。敵には攻撃できる部位があって、弱点もある。音声入力することで、普通のアクションアドベンチャーにはない部位撃ちが可能になったのだ。しかし弱点をいつもさらしてるわけではなく、敵が飛び掛ってきた瞬間や、攻撃を繰り出す瞬間にタイミングよく狙い撃ちしなければならない。そこで敵の動きを見ながら「よけて、腹、撃て」となるわけだ。ちなみにリオはウェイトレスのくせに(?)銃の腕は完璧なので、部位が見えてさえいれば当ててくれる。

ただしこの戦闘も、じれったい人にはかなりじれったいと思う。「逃げろ」といっても思った位置に逃げてくれるわけではなく、ときには敵に突っ込んだりしてしまう。焦って音声入力すると誤認識したり、認識されなかったり。焦りすぎると入力する言葉を忘れてボコボコにされたり。でもそれが面白い部分でもある。音声によるやりとりでのジレンマ、そしてうまく指示が伝わったときの爽快感。敵の動きを予測して先に音声を入力しておいて、○ボタンを押しっぱなしにし、敵が動いたところでボタンを放して指示を送る、という技を覚えたら、戦闘の楽しみも倍化する。

ただし難点もある。視界が悪い。戦う場所によっては障害物が邪魔になって、リオから見えているはずの敵も見えない。リオ視点で見るモードもあるのだが、そうすると今度は周囲が見えない。慣れればそれなりに対応できるようにもなるのだが、立ち位置を自由に操作できないだけにこれはけっこう辛い。

プレイし始めた当初は、音声入力で操作するってのはこっぱずかしいし、なんとなく間抜けだった。しかしすぐ慣れる。慣れてしまうとけっこうはまれるゲームだと思う。ただしそうやって安心していると、本当にこっぱずかしい台詞を言わされたりするので、やっぱり人に聞かれるのはちょっと辛いゲームかもしれない。あと、ストーリーに関しては典型的なコテコテモノなので過度な期待はしないように。

後半辛いことばかり書いたが、ゲームとしての完成度はまずまずでけっこうお薦め。続編か、このシステムを使った新しいゲーム、出ないのかなぁ。

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