コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

杞憂(きゆう)*

〔周代、杞の国の人が、天が落ちて来はしまいかと心配したという「列子(天瑞)」の故事による〕あれこれと無用な心配をすること。取り越し苦労。杞人のうれい。

ということで、ありえないことを無駄に心配すること。心配していたことが起きなかったときに「その心配は杞憂に終わった」などと使う。

このように中国の故事から来ている言葉は多い。有名なところでは「矛盾*」や「杜撰*」「圧巻*」「推敲*」なども同様に中国の故事に由来している。中でもこの「杞憂」は面白い。空が落ちてくるというのはどういう状況のことを言っているのだろうか。大昔のことだろうから、空という天蓋があってそれが落ちてくると想像していたのかもしれないが、その発想があまりに突飛で面白いし、それを常に心配しているというのも変。しかもそれをもって、取り越し苦労という意味にしてしまうのも趣深い。

しかし、空が落ちてくるというと、「北斗の拳」のオープニング曲か、「Zガンダム」のロザミィを思い浮かべてしまう私は、趣がない人間なのかもしれない。