コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

イノセンス

イノセンス スタンダード版 [DVD]
昨日、映画『イノセンス』を見てきた。前作をかなり気に入っていたので、私にとっては待望の作品だった。

感想としては、かなりよかった。前評判で「小難しい」「判りにくい」なんてのを聞いていたし、バトーが主人公で「この物語には人形しか出てこない」なんていう押井監督の言葉に翻弄されて、かなり抽象的かつわかりにくい作品なのではないかと危惧していた。が、実際に見てみると、しっかりとエンターテインメントした作品だった。もちろん、小難しい話やわかりにくい部分はある。引用部分に関しては、文語調ということもあり、何を言っているのかさえわからなかったり。それでも、それらをさえエッセンスとした完成した作品になっている、と思った。

一緒に見に行った相方も、前作は意味がわからなかったが今回はわかった、と言っていた。前作より今作の方が小難しいだろ、とも思ったが、前作やテレビ版の前知識を持った上で見たから、ということもあるだろう。逆に言えば前知識がないと本当にわけがわからない作品だとも思う。ゴーストハックとか、擬体など、特殊な言葉や概念が出まくりなので、わからない人には本当にわからないだろう。

少しネタバラシになるのでまだ映画を見てない人は以降は読まないことをお薦めする。

映像や技術、そして展開など、前作より数段スケールアップしていることに間違いないが、最後の落ちやテーマに関しては少し微妙な感じが残る。最後が尻すぼみな感は拭えない。前作が「情報としての人格が生命であるかどうか」という生命の定義に突っ込んだ話に終結したのに対し、今回はそういうものではなく、「事件の解決」で終わってしまったところが少し残念だ。もちろん物語の全編にそういう問いかけや疑問、ある種の解答や否定が込められているのだが、ラストにそれが生きていないように思った。

ま、それを差し引いても、劇場で見るだけの価値がある作品だと思う。世間的評判はあんまりよくないようではあるが、私は単純に楽しめたのでそれでよい。

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