コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

「蟲師」終

大好きだった漫画が終りました。好きな漫画を5本あげて、と言われたら必ず名前を挙げるくらい大好きな漫画でした。男性が描く漫画とは違う穏やかさと切なさと残酷さを持ったとても良い作品でした。

蟲という怪異を相手にしながら、殺さず、戦わず、ときに棲み分け、ときに退け、ときに避け、ときに受け入れ、ときに共存し、そしてときに翻弄され、ときに奪われていく。そんな不思議な蟲との関係。ときに人に害を成すそれを、戦い殺すのではなく、受け入れながら良い方向へいなしていく。ギンコのやり方はそんなふうに感じました。

すごく毛色は違うかもしれないけど、手塚治虫の「ブラックジャック」にも通じるところがあるような気がします。絶望的な病になすすべもなく命を奪われていくこともあるし、逆に人と蟲との奇跡が驚くべき結果を招くこともある。

そんな作品も、終ってしまいました。

少しだけわがままを言わせてもらえば「理」には人格は持たせないで欲しかった。もっと超然と、「ただあるもの」として存在し、感情や言葉など持たない、考えるのではなく、ただ「在る」だけのもであって欲しかった。単なる欲、ですが。


ひとつの作品が終ってしまったけれど、また次の作品もはじまるでしょう。それを楽しみにしてます。

蟲師(10) (アフタヌーンKC)

蟲師(10) (アフタヌーンKC)