コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

仮面ライダー555 観了

2巻から13巻まで、2日強で観終えてしまった。その後映画「パラダイス・ロスト」も観た。ファイズ三昧。そんな数日だった。

友人から薦められたときには「ライダー? 本当に面白いの?」なんて思っていたが、反省。これは本当に名作です。ごめんなさい。そしてありがとう。


先日の「A.I.」の感想で矛盾云々と書いてしまったが、このファイズにも矛盾はたくさんある。しかしそんな矛盾もアリだと思えてしまうほどに面白かった。作品の良し悪しは矛盾の有無ではなくて、それを越える面白さがあるかどうか、なのかもしれない。

先日の第一印象では何故面白いのかわからない、と書いたが、全体を見てそのあたりの考えも少しまとまってきた。まず仮面ライダーという架空の話ながら、「現実的」とまではいわないが、やけに「現実味」があるのだ。悪の秘密結社の代わりに「巨大企業」。変形するバイクやライダーのパワーアップキットが登場はするが、それ以上の秘密基地やらなにやらは登場しない。あくまでも現実と地続きの世界で物語が展開していく。

またテーマもそれまでの戦隊モノと異なり(といっても最近のはファイズくらいしか知らないんだけど)、単なる勧善懲悪ではない。集団の意志ではなく、人それぞれが信念と目的、嗜好を持ち、状況や立場によって相互の関係が微妙に変わっていく。話が進むにつれ、登場人物たちが相互に愛憎を持ち、複雑な人間関係が築かれていく。これも敵を単なる悪ではなく、考える存在として位置づけたがゆえの効果だ。それが単なるバトルものではない人間ドラマを生んでいる。ま、ちょっと偶然が重なりすぎで「東京ラブストーリーかよ!」と思うような場面もなきにしもあらずだけど(でも面白いから許してしまうけど)。

他に、ライダーやオルフェノクの造形が派手派手しくないというのもすんなり入り込めた要因の一つかも。ライダーのデザインは動物系ではなく「Φ」というギリシャ文字。敵のオルフェノクは動物や植物がモチーフになっているが、基本的に灰色ですごくシック。その辺りも好感。上の写真がその一つ*1


以下、かなりバレありです。まだ観てない人で、ちょっとでもファイズに興味を持った方は、この先は読まないことをお奨めします。

仮面ライダー555 VOL.2 [DVD]

仮面ライダー555 VOL.2 [DVD]

仮面ライダー555 パラダイス・ロスト ディレクターズカット版 [DVD]

仮面ライダー555 パラダイス・ロスト ディレクターズカット版 [DVD]

ネタバレでの感想

単純に見ていて心地よかった。登場人物のやり取り、特に巧、真理、啓太郎のボケ突っ込みのテンポやテンションがいい。最初はちょっと素人臭いかなあと思ってたけど、巧がめんどくさそうに喋るところとか、啓太郎があたふたしてるところとか、見てると癖になる。木場、結花、海堂もいい感じ。特に海堂の喋りのテンポは絶妙。後半、全体的に暗くなってしまってそのテンポの良いボケツッコミがあまり見られなくなってしまったのはちょっと残念だったけど、シリアスさも魅力のひとつだしね。


不満もないわけではない。登場時はものすごい奴扱いだったデルタが後半ではしょぼしょぼだったり。三原をもっとアクの強いキャラにするか、あるいは極論だけど、デルタの持ち主は三原じゃなくて木場にすれば良かったかも、なんて。

クレインの最期に関するエピソードがもうちょっと欲しかったかなあ、と。木場が最後に、クレインの死の本当の理由を知る場面とか、海道がそれを知って・・・なんて場面もあって欲しかった。

他には、巧が正体を明かしてからクリーニング屋に戻るところまでがちょっとダラダラしてた感じがした。何回出入りすんねん、と。

ま、贅沢を言い出すと切りがないかな。そんな不満は全体の面白さから言えば些細なことです。


一度全話を見終えると、序盤の巧の行動や言動の理由がわかって面白い。巧だけがファイズに変身できた理由。突然オルフェノクと出会い戦うことになったのに、まったく動じる様子もなかった理由。そして「人が俺を裏切るのが怖いんじゃない、俺が人を裏切ってしまうことが怖いんだ」という言葉の理由。何気ないことだと思っていたそれらが、深い深い伏線となっている。

変身できることについては薄々感じてはいたけど。しかし、あれだけ猫舌で押してたのに、なんで猫科じゃないんだろ。絶対猫とか虎とかライオンだと予測していたんだけどなあ。


話の終わり方としては賛否両論あるようだけれど、私としては賛、かな。最後にあの面子が生き残るというのはちょっと意外だったけど。一番死にそうなあたりばかりが生き残って・・・てのはある意味定番か。

巧が生きているのはちょっと不思議だけど、アークオルフェノクに触れたために力を得た、と考えれば納得かな。

映画の感想

映画版は本編とはまったく違う世界観で、これまた面白い試み。しかし本編と同等かそれ以上の世界を80分で見せようというのはやはりちょっと無理があったように思った。全体的に急ぎ足で話が進んでしまって、本編での絶妙なテンポや余韻が活かしきれてないかなあ、と。木場の態度の変化があまりにも唐突だし、巧が記憶を失ってるところとかにあまり意味が感じられなかったし。世界観的には好きなだけに、もっとじっくりと見たかったかな。

ファイズな人々

コメント

# iru35711さん

『はじめまして。
ファイズの主人公はライオンのオルフェノクだと思ってました、今まで。なんだかチョットショックです。でもオルフェノクの中で一番かっこいいです。』

コメントありがとございます。毛がふさふさだし、私も最初はライオンか猫だと思ってました。っていうかウルフには見えない。 ^^;

確かにかっこいいですねー。映画版は動きも軽快でした。本編でもあのくらい動いて欲しかった。

*1:ちなみにこの[asin:B000CS4INK:title=ホースオルフェノク]は中古でも12000円のプレミアモノになってます・・・。