コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

バイオメガ (1)(2)

以前、ヤングマガジンで連載されていた「バイオメガ」。1巻が出た後に休載となっていたのだが、なぜか違う出版社の「ウルトラジャンプ」にて連載再会。そしてこのたび集英社から、以前に講談社から出ていた1巻と新たに追加された2巻が同時発売。

作品が同じ出版社の別の雑誌に移るというのはたまにあることだけれど、雑誌が廃刊になったわけでもないのに出版社を移るというのは珍しいことなのではないでしょーか。でも何はとまれ連載再開というのは嬉しい。

この作品をひとことで言えば「ヒーローもの」。「ABARA」が初代仮面ライダーのような化物じみたヒーローものだとすると、こちらはもう少し正義の味方ぽい戦隊ものかな。

1巻については以前に感想を書いているのでそちらを参照してください。っていうか、1巻は講談社版持ってるのに、集英社版も買っちゃいましたよ。集英社版の1巻は基本的に講談社版と内容は同じだが、「interlink」という2巻へと続く短編が追加されている。

BIOMEGA 1 (ヤングジャンプコミックス)

BIOMEGA 1 (ヤングジャンプコミックス)

BIOMEGA 2 (ヤングジャンプコミックス)

BIOMEGA 2 (ヤングジャンプコミックス)


以下ややばれありで。


2巻。登場人物が増え、物語も深みを増していく。造一たちの素性とDRFの目的も明確になっていく。「BLAME!」に比べてセリフが多く、説明的なエピソードも挿入されているため、設定や話の流れが格段にわかりやすい。これでも他の漫画と比べたらまだ説明不足なくらいかもしれないが。ただ弐瓶漫画としては何度も読み直して想像で補完する部分が少なくなってしまうというのはちょっと物足りないと感じる部分も。

東亜重工の合成人間側には庚造一とフユの庚組に加え、丁組のAIのタイラ、さらに壬組の二銖とシンが加わった。さらにDRF側にも続々と顔付きのキャラクターが登場。「BLAME!」では孤独な探索、「ABARA」では二人対他の戦いだったが、「BIOMEGA」ではAIとクマも含め、多対多の様相を呈してきた。対立構造としてはBLAME!やアバラと同様、人型対珪素型。そして2巻の最後に第三勢力ぽい存在が登場。同じようなパターンの繰り返しと言ってしまえばそうなんだけど、なんでこんなにワクワクしてしまうのだろう。

絵のクオリティは相変わらず凄い。バイクの疾走感、登場人物たちの装甲のデザイン、戦闘の重厚感、時間を飛ばすことによって表現する速さの描写、巨大構造物、どれをとっても他の追随を許さない弐瓶勉独自の世界。今作はゾンビ状のドローンが出てくるのでグロシーンも多いのだが、しかしこの人の絵はコマを見ているだけで脳が痺れてくるぐらい気持ちいい。

また特筆すべきは人物の表現の進化・・・いや人物というよりはクマか。この作品の中で最も感情豊かで最も表情豊かで最もおしゃべりな存在のクマことコズロフ。しかし見た目リアルなクマであるがゆえに、ギャグっぽく振舞っていても作品の重厚さを阻害することがない。凄い。帯にも書かれている「それにしてもコズロフはよくしゃべるなあ、熊なのに」とタイラに言われたときの表情、調達してきてもらった食料の中にアルモノを見つけてしまったときの表情と間とセリフ。絶妙すぎて下手をすると造一たちより印象的かもしれない。

あーなんか1巻のときと同じような感想になっちゃったかな。

ABARA」はちょっと長い短編のような作品だったが、「BIOMEGA」は背景となるストーリーも深く、これからの展開も広がっていきそうな長編漫画な感じ。最後にひとことで言えば「弐瓶勉すげーー!!」です。


ちなみに登場人物や団体、専門用語についてはwikipediaの解説が詳しいです。


ところで2巻の表紙の長髪の女性は誰? 壬二銖かと思ったけど髪形が違うような。ってよく見たらピンで留めてるのか。

関連商品

バイオメガ 1 (ヤングマガジンコミックス)

バイオメガ 1 (ヤングマガジンコミックス)

講談社版。

Wolverine: Snikt!

Wolverine: Snikt!

弐瓶勉が描いたX-MEN(海外モノ)。よく知らないんだけど、正式にX-MENを描いた日本人って弐瓶氏くらいなんじゃないだろうか。