コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

イーオン・フラックス

ワイヤーアクションとガンアクションがミックスされたSF映画。いわゆるマトリックス亜種。世界設定も閉塞された平和な世界とそれを打ち崩そうとするレジスタンス勢力という構造もなんとなく似ている。違うといえば主人公が女性ということ。でもそういう亜種も多々できているのでさほど斬新なわけではない。

と否定的なことから入ってしまったけれど、娯楽作品として単純になかなか楽しかった。展開がスピーディーで間延びした感じはなく、かといって展開が早くてわかりにくいということもなく。アクションはまあ普通かな。マトリックスのような超現実的な感じではなく、格闘&ガンアクションといった趣。アクションに関して驚いたのは、イーオン・フラックス役の女優シャーリーズ・セロンが全てのアクションをこなしているということ。そう思って見るとけっこう凄い。


以下ネタバレありで。


導入。

ウイルスにより世界の人類の大部分が死滅した。人々はようやくウイルスのワクチンを作り出し、生き残った人々はシェルターを作ってその中で暮らし始めた。シェルターではウイルスの作成者を支配者となり、400年の月日が流れた。閉塞された緩慢な平和の中で、人々が失踪する事件が続発。政府はその事件を認めていない。その政府に不審を抱き、政府打倒を目論むレジスタンス勢力がいた。イーオン・フラックスはその組織の工作員だった。

全体的にもう少し、アクが強くてもよかったんじゃないかなあ、と思った。たとえばイーオンの決めゼリフぽい「Amateur(素人ね)」をもっと効果的に使うとか、決めポーズをもうちょい凝ってみるとか。やりすぎはよくないけどね。ラストの庭での銃撃で両手に銃を持って左手の銃を頭の後ろに構えてるところはちょっとかっこよかった。あんな感じがもうちょっと欲しかったかな。

さて、世界設定について。この作品もそうなんだけど、最近「閉塞されたシェルターからの脱出」をテーマにした作品が多いように思う。たまたま最近見たものがそうだっただけかもしれないが、「エルゴ・プラクシー」「FREEDOM」そしてこの「イーオン・フラックス」など。みな世界が滅亡し、生き残った人々がシェルターを築き、そこから出ることが禁忌とされる。主人公はその閉塞を打ち破るべく行動しはじめる。

こういうテーマは以前からあったが、特に最近よくテーマになっているような気がする。流行だろうか。あるいは単なる偶然? それとも社会に・・・世界にこういう行き詰まった閉塞感が満ちているからだろうか。このテーマもあるいはマトリックス亜種、と言えるのかもしれない。


ストーリーとしては、敵と思っていたものが実は敵ではなく、元の味方をも敵に回して信念に忠実に行動する・・・と言えば聞こえはいいけどけっきょく男女仲の話になってしまっております。そのあたりはアメリカ映画らしいというかなんというか。

真の敵の目的と行動がわりとわかりやすいのでストーリーはすっきりと纏まっている。ただ真の敵の倒し方がいまいちぱっとしなくて残念。


次はウルトラヴァイオレット見ようかなあ。ってまたこれ系かい。しかしこれ系の女性主人公ってなんでみんな黒髪?

ウルトラヴァイオレット (竹書房文庫)

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