コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

東京ゴッドファーザーズ

というわけで、相方の実家にて、子を保育園に預けた後は暇を持て余していたので、相方と二人でDVD見てました。みんな仕事してるのにこんなことしてていいのかなーと思いつつも。

アニメ「東京ゴッドファーザーズ」。今敏監督の作品。ひとことで言えば、とてもよく完成されたスラップスティック。人情劇あり、刃傷沙汰あり、アクションあり、ドラマありのエンターテインメント。単純に純粋に面白かった。

リアルであるかというとそうではない。しかし現実を土台にしているために完全に空想でもない。アニメで描かれたゆえに現実と非現実の絶妙な境界上に立っていることができる。そんな気がする。

今敏監督の作品というと、「パーフェクトブルー」「千年女優」「妄想代理人」のように現実と非現実が混在した少々わかりにくい作品が多いという印象があるが、この作品はそういうところがほとんどない。一部回想が現実と重なるところや「奇跡」の演出はあるが、物語の流れに食い込むほどではなく、全体的に素直に物語を追っている。すごく「見やすい」作品だと思う。


以下ややネタバレ。


物語の流れは伏線を張りまくりで、それをあちこちで回収しながら最終劇へと向かっていくという形になっている。これが凄く上手い。忘れたころに伏線が繋がり、それが次のエピソードへと伸びていく。

興味深いのは三人のホームレスが主人公というところ。映画アニメとしてはありえないような主人公たち。おっさんとオカマと家出少女。およそ主人公らしからぬ三人だが、だからこそインパクトがあるし、新しい。それぞれが過去を引きずり、心の中に重荷を背負っている。物語が進むにつれ、それらが次第に解きほぐされていく様も上手い。

もうひとつ面白いのは声優。ハナ役が梅垣義明というのはなるほどと思ったが、ミユキが岡本綾というのはかなり意外だった。役者のときのイメージとまったく違い、ドスのきいた低い声だし、やけに喋りなれてる感じだったので全然わからなかった。よくある「役者が無理やり声優しました」みたいな感じがほとんどない。あまりにすんなり聞けたので、普通に本職の声優さんがやっているのかと思ったほど。


ちょっと地味だけど名作。こういうアニメが増えてくれると嬉しいんだけど。