先日のジャンプ感想のDEATH NOTEのところでちらっと書いた「印象に残る台詞」の話。DEATH NOTEが最後(?)のクライマックスを迎えているわけだが、もう一息、強い台詞が欲しかった。盛り上がってはいる。台詞としても決して弱いというわけではないが、思わず使ってみたくなるというレベルまでは行っていないように思う。
強い台詞としてまず思い浮かぶのは「ジョジョの奇妙な冒険」と「機動戦士ガンダム」だろう。このニ作品の数多くの台詞は、そのまま、あるいはアレンジを加えあらゆるところで使われている。作品としても優れているがゆえにその台詞が取り上げられるというのもあろうが、それだけではない。その名台詞には言葉自体に強い力があるような気がする。
以前はオタクっぽいとみなされていたそれらの言葉も、ネットの普及でかなり一般的に使われるようになってきたように思う(実際に口に出して言うのはまた別の話かもしれないが)。その「名台詞」について少し考えてみた。
まずガンダム。ガンダムの台詞強さの理由のひとつには、言い回しの妙があるだろう。ガンダムは少し堅い軍隊ぽい喋り方をしている。こういうのを富野節というのかどうかわからないが、ともかくガンダム独特の雰囲気をもっている。「〜なのだよ」とか「〜なのではなくて」という言い回しは、それを聞くだけでガンダムぽいと思うほどだ。
その雰囲気はファースト、あえて言えばZガンダムまでのもので、OVAなどではその堅い雰囲気が出ていない。OVAでもファーストのような堅さを狙っているのはわかるのだが、こなれていないというか、うまく再現できていないというか。名台詞サイトでは全シリーズを扱っているものも少なくないが、やはりファーストの強さがダントツだと感じる。声優やアニメ全体の雰囲気ももちろんあるが、それだけでなくやはり「言葉の力」が歴然としているように思う。欲のないファーストだったからできたと言うべきか。
もうひとつの要因はシャアの存在。主人公であるアムロよりも、シャアの台詞の方が名言として使われることが多い。彼の存在、声、口調、話し方、そして台詞の内容。それこそがガンダムの雰囲気そのものと言っていいほど。シャアなくして今のガンダムはありえなかったと思うくらい強いキャラクター性。彼がガンダム名言を作ったと言っても過言ではなかろう。
もうひとつのジョジョ。こちらは漫画として、音もないのに台詞が脳にこびりつく。ひとつは語尾。そう、独特な語尾いいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!! これだけでジョジョ風になる。
ガンダムの場合は堅さだったが、ジョジョの場合はなんだろう。台詞まで劇画調、とでも言うのだろうか。ジョジョは構図やポーズなど常に演出を凝らしているが、同様の手法で台詞についても構図やポーズをキメている感じがする。名言として狙っているのではなく、その場そのときにカッコよく決まる台詞。あるいは行き過ぎない・・・いや行き過ぎた奇抜さ。それが結果として名言として受け止められているのではなかろうか。
もうひとつ、そんなにメジャーではないれど個人的に言葉が強いと思う漫画がある。「BLAME!」だ。おそろしく台詞が少ないとして知られる漫画だが、その少ない台詞がやたらと強い。少ないからこそ強いのかもしれない。しかも意味のある台詞だけでなく、何気ないひとことひとことがシーンとあいまって強い言葉になっている。読んだ人には判る。そうとしか言いようがないが。
そんなわけで、会話劇が主のデスノートにはもう少し頑張ってもらいたかったな。全裸くらいのインパクトのある台詞が欲しかった。
しかし名台詞を意図的に作り出すというのは容易くない。それは見る側や読む側がどう受け止めるかで決まるものだから。意図的に作り出そうとすればそれは狙いすぎと映り敬遠される。難しいものだね。
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