コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

探偵儀式

探偵儀式 (1) (角川コミックス・エース)

探偵儀式 (1) (角川コミックス・エース)


何の前知識もなく本屋で見かけ、絵柄と帯を見て衝動買い。買ってから大塚英志が原作だと知った。最初1巻だけ買って読んだのだけれど、面白かったので2巻3巻もすぐ買いに行った。

原案もあるようだけど、そちらはよく知りません。

JDC(日本探偵倶楽部)という探偵の組織が公的機関として国に認められ、警察の替わりに殺人事件を解決する日本が舞台。探偵たちは有名人としてもてはやされている。一方で推理をしないで事件を解決してしまうBDCと名乗る三人組の子どもたちも登場する。そんな折り、JDC内部で奇怪な事件が発生し・・・。


大塚英志モノといってもちゃんと知ってるのは「多重人格探偵サイコ」と「木島日記」「北神伝綺」くらいなのだけれど、それらと比べるといくつかの点でかなり異質。まず絵柄。大塚モノというとどうしてもサイコのようなリアル系、グロ系な絵が思い浮かぶのだが、この「探偵儀式」は良い意味でかなり軽い。おどろおどろしさや気持悪さがない。絵柄だけなら週刊少年サンデーで連載していてもおかしくないくらい。この絵柄のおかげで、話はグロくても読みやすい。死体も実際には酷い殺され方をしていても、見た目はそんなにエグくなってないし。

もうひとつの異質な点は「普通の人の日常」が描かれているということ。BDCのメンバーたちの日常が描かれるシーンがあるのだが、その家族たちが非常に「普通」に描かれている。こういう人々はサイコや木島日記には登場しない。


物語は3巻にしていまだに掴み所がない。そもそも誰が本当の主人公なのかわからないのはサイコに通じるところがあろうか。しかし各キャラがしっかりと個性を持ち、また物語りは順を追って進んでいるために散漫という印象はあまりない。

以下ネタバレ込みで。


帯にもあったように、この漫画の肝は「推理」ではあに。BDCのメンバーからして天啓という特殊能力に頼っている。あるいはJDCメンバーたちの死も全て、ある種の特殊能力によって引き起こされているのではと。そうなると超能力漫画になってしまうけど、ま、最初から「推理しない」のを謳っているのだしそれもアリかな。まだわからないけど。でもほんとに推理をほとんどやってないので、それももっとちゃんと見て見たい気もする。


あと面白いのは、微妙に他作品にリンクしているところ。現在のサイコの主役的キャラとなっている刑事の笹山徹が、見た目はまったく違うがこちらでも主要キャラとして登場している。しかも過去に「バーコード殺人事件」に関わったという言及まであり。妻と恋人と親友を殺された、とあるが、恋人と親友はわかるけど、妻?? サイコではまだ描かれていない部分だろうか。それとも別作品での話?

このあたりのリンクは大塚的スターシステムという感じ。いやむしろ松本零士的リンクと言った方がよいだろうか。ハーロックがやエメラルダスが銀河鉄道999に絡んでくる、みたいな。


それにしても3巻の終りは衝撃的だった。先に書いたとおり、大塚原作作品で普通の人が描かれることは稀だ。その彼らが・・・なのでちょっとショック。いままでどんなに猟奇惨殺があっても、たいていさして描かれもせぬ他人か、現実味のない人間たちが多少だったのだが、今回は違う。切ない。4巻が気になる・・・。

けどこれ、サイコと一緒で1年に1冊ペースでしか出ないんだよね・・・。大塚作品ってちゃんと完結するんかな・・。

探偵儀式 (2) (角川コミックス・エース)

探偵儀式 (2) (角川コミックス・エース)

探偵儀式 (3) (角川コミックス・エース)

探偵儀式 (3) (角川コミックス・エース)

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