新年早々小難しい話きたー。書き起こしでもしないと詳しい内容は理解できそうにないが、なんとなくの範囲で。
科学者と宗教者の対談:内容について
まずイーガンの話。
- スカブコーラルは知性体
- コーラリアンはスカブコーラルが生み出したコミュニケーションツール(端末)
- オレンジで地殻を攻撃することにより、生命が白血球や抗体で侵入物を排除しようとするのと同様、抗体コーラリアンが発生する
ここまではいままでも語られてきたことのまとめ。
話はさらに一歩進む。知的生命体がこれ以上増えると、物理宇宙は崩壊する(情報力学のクダンの限界? 件? 九段? それとも固有名詞?)とのこと。スカブコーラルが知的生命体だったとした場合、クダンの限界を越え、崩壊が発生すると語る。しかし現実にはクダンの限界をとっくに越えているとも。そこへノルブの「大地は夢を見ている」との言葉。デューイも「大地はまだ目覚めてさえいない」と言っていたが*1、スカブコーラルは休眠状態にあるらしい。それが目覚めたとき、本当の崩壊が発生する、と。
崩壊とは何なのか。単に種族同士の争いかと思われていたが、どうもそれだけではないようだ。ノルブは、「空が裂ける」という表現を使っている。さらに実際に一度スカブコーラルが目覚めかけたことがあった。そのときに一部でクダンの限界を越えた歪んだ空間が残った。それがグレートウォール。そこは「あらゆる物理法則が無視される空間」になっているとのこと。スカブが目覚めれば、世界全てがそれに飲み込まれてしまうと。つまりは宇宙の崩壊? 情報の崩壊、と言うべきか。感覚的にしかわからんけど。
非常に簡単にまとめると、
その他、ノルブとイーガンの会話より。ノルブの言葉は宗教的単語が多くて理解しづらいが。カンカイってなんだろ。官界?
- 第三官界(この世)はヴォダラクの泡。いずれ破れ、尽きる
- ヴォダラクとは神ではなく、意思を持つ「状態」
- 崩壊の前にスカブコーラルと合一し第十官界へ進まねばならない
- スカブコーラルはかの岸へと我らを乗せる船
- トラパーは船へと誘う風
- 思考はエネルギー、ゆえにトラパーからエネルギーが抽出できる
- 第七官界の力は、第三官界に影響を及ぼす
- 第七官界は生きるものの思考そのもの
- コンパクドライブは増幅装置、風と我らを繋ぐもの
- 軍(デューイ)はスカブコーラルが目覚める前に殲滅しようとしている
なんだか抽象的すぎてわけわからないけど、きっとそのややこしい部分も今後の物語で明瞭になっていくことでしょう。と、期待する。
科学者と宗教者の対談:雑感
この宗教者と科学者の対話は面白い。まったく違うことを語っているようで、けっきょくは同一のことを語っている。そしてまったく平行線のようでありながら、イーガンとノルブの間では言葉が通じている。ノルブ自身、「科学と宗教は同じ道の両端」と言っているが、まさにそんな感じ。
ただそもそもノルブは宗教者というよりは、真実を知っているがそれを言葉として語ることが難しいので宗教という形を取っているという気もする。あるいは宗教と見えるような形で語らざるを得ないのか、もしくは聞いている側が宗教的言葉として受け止めてしまうのか。
アネモネ with アゲハ隊
先週出てきていた新型KLFは「アゲハ隊」とのこと。中にアゲハ隊の子どもたちが乗っているのだろうか。それともただそう命名されている自律型LFO? 搭乗者が描かれていないのでまだわからないけど。
そしてそのリーダー格として登場したアネモネ。「バハルックスウェル」? 連携による新技も披露。
そういえばコーラリアンとLFOがガチンコで戦うのって初めてじゃないですか? 巨大スカイフィッシュとの戦いはあったけれども。
その後、デューイの演説を聞いている民衆を見ながらのアネモネの一言。「考えてるようで考えてない顔ばっか、気持ち悪っ」って、あなたは何か考えて行動してるんですか? ただ「事実を知っている」というだけで、民衆と同レベルかそれ以下に何も考えてないじゃないですか・・・。
デューイの茶番
抗体コーラリアンの出現をネタに、カリスマ独裁者の座を狙うデューイ。恥ずかしくなるくらいのド派手コテコテ演出で民衆の心を鷲掴み。賢人会議への離反も叫んじゃう。
コテコテだけどこの嘘を突き崩すのは難しい。一片の真実を内包しているから。仮に真実が語られたとしても、コーラリアンが人を襲ったのもまた事実。「どちらが先に仕掛けたか」なんて大切な人を失った者には関係ない。しかも相手は異形のバケモノ。
もしここでデューイが「ゲッコーステイトはコーラリアンに味方するテロ集団」とでも言っていたら、ゲッコーステイトはさらにピンチになってたかも。
デューイさん、前回でさんざん醜態を晒したわけですが、今回はゲッコーステイトより先に手を打ったという点で多少は「悪役」としてのハクを取り戻したかな。あまりにも悪役が板に付きすぎていて、なんとも言えないところはありますが。「民衆なんて死んでも気にしない」って感じが前面に出すぎてて、「正義のためには犠牲もやむをえない」という感じがしないんだよね。「大義」でさえない。今のデューイは単に「倒すべき敵」としか見えない。
ここでデューイにも葛藤が描かれていれば、物語としてもうちょっと深みが増したのではないかと思うのだけれど。せめて「逆襲のシャア」のシャアくらいには・・・。
悪役が力を持っていて見ててイジイジする。最終的にこれを倒してカタルシス、を狙っているんだろうけどね。でも今のままだとあまりに「勧善懲悪」過ぎてなんとも・・・。
科学者達とのお別れ
モリタ、ソニア、イーガンが「クダンの限界」を本格的に調査するためにゲッコー号を降りることに。イーガンとミーシャが案外にいい感じ。
イーガン:仮定(カテイ)の話は嫌いだったんじゃないのか? ミーシャ:二人の家庭(カテイ)の話でしょ。
って駄洒落で返しちゃってるよ。
エウレカの人間化
研究者達との別れ際のエウレカの「寂しくなるわ」との言葉に対して、イーガンが一言「エウレカの変化が早すぎる」と。ノルブもまた、エウレカが人になりたがっているゆえに力を失いつつある、と語る。確かに最近デレデレだったもんなあ。これの伏線だったのか。
エウレカについてはまだ語られていない部分が多い。コーラリアンでありながらなぜ人型なのか。望めば人間になれる? エウレカが人になってしまったらどうなるの? サクヤとの関係は? エウレカ自身の、そしてその対となる人間が果たすべき役目とは?
今週のドミニク
アネモネは(見かけ上)復権したが、ドミニクは相変わらず。首都攻撃がブラフであるということさえ知らされていなかった。アネモネの離反フラグは消えたが、こちらはまだまだ蓄積されているようで。デューイ側に残る「最後の良心」だからねえ。でもどういう結末であれ、彼は幸せにはなれそうもないな・・・。
*1:漫画版だったかな?