コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

こんな初夢はイヤだ

妻と私は、5階建てほどの鉄筋の古いアパートに住んでいる。団地でもなく、マンションでもなく、アパートだ。かなり古くボロい。

妻が仕事に出かける。日雇いの事務の仕事らしい。子の姿はない。というかそもそもいない。

巨大なダンプトラックがやってくる。どうやらそれが妻の出勤用バスとなっているようだ。他にもたくさんの社員らしき人間が乗っている。そのトラックが走り出すときに、轢かれそうになる。トラックの後部が私の頭を擦るくらいのぎりぎりを通り過ぎていった。

私も仕事に行かねばならない。今日は新年最初の出勤日だ。遅刻するわけにはいかない。しかし外に出たはいいが、何かしらの忘れ物をしたことに気付き、取りに帰らねばならない。出勤するというのに、なぜか辺りは夕方過ぎのような薄暗さだ。各々の窓には明かりまでともっている。そんなに遠くまで来たつもりはなかったのに、アパートに戻るまでにやけに時間がかかった。

なんとかアパートまで戻り、裏口から階段を登る。自分の部屋のある階に付く。私の部屋は一番奥だが、一番手前の誰かの部屋に明かりが灯っている。部屋といっても、なぜか廊下から部屋の裏側が見えている。しかしその明かりがなにやら不審だ。どうやら住人がいる明かりではないようだ。これは泥棒が忍び込んでいるに違いない。私はそう確信する。

面倒なことになってはまずい。それに自分の家のものも盗まれているかもしれない。そう思い急いで部屋に帰る。ドアを開けると、畳敷きの狭い我が家に見慣れぬ男の姿があった。

まだ若い青年。頭が大きく、カモノハシのような印象だ。宇宙人と言ってもいいかもしれない。アンバランス。不安定。しかし誰であれ、家に他の人間がいるというのはオカシイ。私は直観する。これは先ほどの泥棒だ、と。

私は「泥棒!」と声をあげる。相手は違う違うというように頭を振る。しかしそう言いながら、脇にあったバックパックを背中に隠そうとしている。私はそれを奪い取り中身を確認する。中にはうちのデジカメが入っていた。他にも、おそらくこのアパートの他の部屋から盗ってきたと思われる品々が詰め込まれていた。ほれみたことか、と言うが、それでも男はすっとぼけたふりをしている。

私はこんなことでは会社に遅れてしまう、と心配しつつも、この状況を放っておくわけにもいかず仕方なく部屋にとどまる。ま、泥棒が入ったのだから言い訳も立つだろうなどと考えている。

私は警察に電話をかけようとする。何度か番号を間違えて117などを押してしまう。落ち着いて110番を押すが、今度は電話が繋がらない。何度かかけてみるが結果は同じ。泥棒は「もうあきらめましょう」みたいなことを言って帰ろうとするので、慌てて引き止めてまた電話をかける。しかたなく119番にかけてみるが、お門違いだと言って取り合ってくれない。

妻に電話をかけてみるが、電話で説明してもまったくらちが開かない。ともかく警察に連絡してくれと言って電話を切ったが、しばらく待ってもまったく警察が来る様子はない。

そのうち隙を見て泥棒が部屋から逃げ出す。私は部屋の外まで泥棒を追いかけて連れ戻した。騒動を聞きつけた近隣の住人が何事かと顔を出す。皆面識のない者たちだが、私が事と次第を簡単に説明すると、それは大変だと皆私の部屋に集まってきた。

皆は私と同様にその泥棒に対して怒っているのだが、その中のひとりの女性がどうやらその泥棒の知り合いだったようで、しきりと「もう離してあげたら」と進言してくる。しかしそんなものに取り合っているわけにもいかない。私はどうしても警察に電話が通じないということを説明すると、住民の一人が車を出してくれるという。

一行は車に乗って出発するが、別に警察に向かう風でもなく、皆を乗せてただドライブしている。私が「このまま警察に行けばいいんじゃないか?」と提案すると、「ああそうか」と運転手が相槌を打って警察に行くことになった。

警察に到着し、泥棒を引き連れて署内へ入っていく。私が受付の警官に事情を説明するが、警官はなぜか取り合ってくれない。

ふと顔を上げ、壁にかけられた歴代の警察署長の顔写真を見てびっくり。その一番左端にある写真が、この泥棒とそっくりだったのだ。カモノハシっぽい所長。年齢などは明らかに違う感じだが、顔かたちはそっくり。

どうやら警官は、この泥棒をその署長だと思っているらしい。「署長が泥棒をするはずなどない」と取り合ってくれない。私が似てはいるがこの男は署長ではない、と説明するが、まったく聞く耳を持ってくれない。

そのうち、ちょっと年のいった小太りの婦警が何事かと話に割って入ってきた。私が改めて説明するが、この婦警も同様に泥棒を署長だと思っているようだ。しかし婦警が泥棒と会話しはじめると、その泥棒があまりにも物事を知らないことに不審を覚えはじめたようだ。婦警はどうやらこれは署長ではないと言い出し、詳しく調べてみるということになった。

一件落着。我々一行はアパートに帰ることになった。


こんな初夢はイヤだ・・・。実際に見ちゃったんだけど・・・。