コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

眼鏡っ子の眼鏡はスイカの塩?

ぶっちゃけますよ。

メガネっ娘ブームは女性に“女らしさ”を求める世の男性の歪んだ願望の表れです」
 そう語るのは、お茶の水女子大教授の土屋賢二氏(哲学)だ。
メガネっ娘好きは、別に知的な女性を好んでいません。むしろ、能力のある女性を評価できず、反発する傾向が強い。まるでスイカに塩を振ると甘味が増すように、カワイイ女性に女らしさの対極にあるメガネをかぶせ、より女らしさを強調させて楽しんでいるに過ぎないのです。女性の社会進出で崩壊へ向かう男社会の“断末魔の叫び”にも聞こえます」
 かるくヤバイ?

via: id:prepre:20051108:1131417070

スイカに塩を振る議論

もうね、あらゆる点で納得がいかない。眼鏡萌えが女性の知性を否定しているという物言いは極めて恣意的で誘導的だと言わざるを得ない。

確かにいわゆる「眼鏡萌え」がすべて、女性の知性を評価しているとは言えないだろう。しかしだからといって「世の男性の歪んだ願望の表れ」と言ってしまうのはいかがなものか。純粋に女性の知性に魅力を見出す男もいるし、あるいはそれが普段見せない日常に近い印象を与えるということもあろう。あるいは単に「レアだから」という理由で賞賛している者もいることだろう。

そもそも眼鏡をかけている女性がレア、というのが既に女性の知性を否定する社会的な風潮の表れなのだ。朝日テレビのアナウンサーの萩野志保子氏が語っていたが、アナウンサー業界では眼鏡をかけた女性を嫌う傾向が特に強いとのこと。知性を必要とされるアナウンサー業界でさえそうなのだ。これが実体である。女性が知性を垣間見せることを男性社会が拒否しているというのが現状だ。

眼鏡っ子萌えはいわば、そのいままでの社会状況に相反する流れと言えよう。そうであればこの記事での眼鏡っ子萌え批判も、そういう旧来の男性的な考えに根付いているのではないかと勘ぐってしまう。眼鏡っ子を評価する者を批判することにより、女性が眼鏡をかけることの一般化を阻害しようとしているのではあるまいか。

もちろん、グラビアなどで擬似的に眼鏡をかける女性に対しては、女性の知性そのものを冒涜しているという批判もあろう。それならばわかる。しかし真も偽も一緒くたにして否定してしまうことが建設的だとはとても思えない。


だいたい「スイカに塩を振ると甘味が増すように」などという比喩を使うことが許されるのであれば、どんなに反対を示す事柄でも都合のいいように意味を逆転できてしまうではないか。それに「女らしさの対極にあるメガネ」という考え方自体、現代の感覚から言えばかなり偏っていると言わざるを得ない。この記事こそ「男社会の“断末魔の叫び”」そのものに聞こえる。

眼鏡っ子ブームって来てるの?

そもそも眼鏡っ子ブームって本当に来てるの? 確かに役柄やグラビアで眼鏡をアイテムとして使うケースは増えてきているかもしれない。しかし未だに、「常に眼鏡をかけているアイドル」はいない*1。本当に眼鏡っ子ブームなら、必ずそういうアイドルなりタレントなりが出てくるはずだ。それに日常生活で眼鏡をかけているタレントは多数いるだろうが、そういう人でさえ役柄ではなく本人として出演するトーク番組やバラエティ番組に眼鏡をかけて出ることはほとんどない。

つまり女性の眼鏡は(少なくともテレビ界隈では)まだ市民権を得ていない。眼鏡萌えのニーズにさえ届いていない。それを押さえつけているのは女性が知的に見えることに否定的な男性社会。はたしてこの記事はそういうことを踏まえて書かれているのだろうか。


そして最後、「かるくヤバイ?」で〆ているところが軽薄すぎてもうぐったり。

眼鏡をかけたタレントが眼鏡っ子ではない

さてもう少し突っ込んじゃうぞ。

口火を切ったのは、日テレの人気ドラマ「ごくせん」の仲間由紀恵だ。おさげ髪に銀ぶちメガネのヤンクミ先生を演じ、視聴率30%超の大ヒット。メガネっ娘のステータスアップに貢献した。

ヤンクミって眼鏡っ娘か? あれが*2眼鏡っ娘のステータスアップに貢献してる? いわゆる眼鏡っ娘からは著しく外れてると思うのだが。

真鍋かをりが『ブログの女王』の冠を手中におさめたのも普段は見せないメガネ姿をブログで披露、アクセス数を急増させたのがきっかけでした

確かに眞鍋の眼鏡は話題になったが、それ以前から眞鍋ブログは注目されていた。眼鏡がきっかけで盛り上がったわけではなく、眼鏡もまた盛り上がりのネタのひとつでしかない。他にも眼鏡姿を晒しているタレントブログはあるけど、眞鍋ブログほど盛り上がっていないでしょ。


ということで、いたるところ納得のいかない記事だった。


しかし我ながら何を熱く語っているのやら・・・。*3

関連

*1:いるのかもしれないが、メジャーなところでは見かけない。

*2:ごめん。

*3:いろいろ書いてたけどなんだかごちゃごちゃして辻褄合わなくなってるよーな気がしてきたので余談と追記は消します。ごめんなさい。