コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

スリーピー・ホロウ


パッケージや宣伝を見て、ゴシック調の美麗な雰囲気がずっと気になっていた。そして印象が裏切られることはなかった。トーンを落とした色調、幽美な造形、そして主演のジョニー・デップクリスティーナ・リッチ。すべてがゴシックホラーな世界にすっぽりとはまりこんでいた。そもそもわたしはどうもゴシックホラーな雰囲気に弱いらしい。見た目で良し悪しを判断してしまうのは我ながらミーハーだと思うが、映画にとってはそれもひとつの大切な要素だと思うので。

ただこの映画、グロい映像もたくさんあるので、そういうのが苦手な人にはお薦めできない。


19世紀を目前に控えたニューヨークの片田舎で、首を切り落とされ殺されるという連続殺人事件が発生。ちょっとすっとぼけた青年捜査官イカボッドが、その地スリーピー・ホローに派遣される。そこは言い伝えや呪いが色濃く残る村だった。ストーリーはこんな感じ。

以下ネタバレあり。


イカボッド役のジョニー・デップ。名前を聞くことはあっても顔は良く知らなかったのだが、けっこういい男。撮り方が上手いのかな。それにこの映画の中では単なる美形ではなく、正義感に溢れながらドジで臆病で変な機械好きの捜査官というおいしいキャラ。ちなみにパッケージのジョニー・デップは、作中の彼とはかなり印象が違う。作中ではもっと若々しく貧弱ですっとぼけた感じ。

しかし彼を見ているとどうしても稲垣吾郎っぽいと思ってしまう。かっこつけてるのに微妙になよなよした役だからだろうか、それとも単に髪型が似ているからだろうか。

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もうひとりのメインキャスト、カトリーナ役のクリスティーナ・リッチスリーピー・ホロウの村の富豪の農民の娘。ちょっと上っ鼻だが、幼さと妖艶さを兼ね備えたいい雰囲気を持ってる。パッケージでは子どもっぽく見えるが、そんなに子どもな年齢設定ではない。10代後半くらいだろうか。

ゴシック調の衣装を着ればどんな俳優でもある程度綺麗に見えるのだとは思うが、この人の場合それがかなりしっくりとはまっている。加えて、これは演出と演技の妙だとは思うが、死者の国の入り口を見てもほとんど動じることなく毅然としていたりと、見た目や振る舞いから不思議な雰囲気を漂わせていて、それがまた上手いと感じた。

この人、どこかで見たことあると思ったら、「アダムズ・ファミリー」の長女役の人らしい。言われてみれば確かに同じ顔してる。なるほど妖しさはお手の物、というわけか。しかしスタイルが変わると印象も変わるものだ。

http://www.cincinnati.com/freetime/movies/other/img/ricci.jpg http://www.nightworks.de/ricci/gallery/ricci26afv.jpg


物語の内容について。導入はリアルなサスペンスものになるのかな、と思っていたが、なんのなんの。こてこてのファンタジーホラーだった。首のない黒騎士、魔女、魔方陣、死者の国と繋がる木、などなど、グロいのにどこかユーモラスで、なんとなく少年ジャンプの読み切りにありそうな乗り。

ファンタジー全開になってからはありがちな展開で進むのかなあと思っていたが、最後の方で上手いどんでん返しを食らった。私はミスリードにすっかり乗っかってしまっていた。そしてあれがミスリードであって良かった。


ひとつ疑問。イカボッドが黒騎士に刺されて傷ついたときに「傷の治りが速い。治療の必要もないくらいだ」と言っていたが、あれは何だったのだろうか。カトリーナがベッド下に魔方陣を書いたのはあの後だったと思うし、イカボッド自身にも謎が? ゴシックホラーというとどうしても「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」を連想するし、イカボッドの青っ白い顔がそのヴァンパイアっぽく見えてしまうのだが・・・。関係ないか。

いつかもう一度見たい
劇場で見たい ○(美麗系は劇場で見たい)
最後まで集中して見れた 
他の人にも薦めたい △(グロいので万人向けではない)
印象的なモノがあった ○(映像全般)
マニアック ×(メジャーどころだし)
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