- 作者: 漆原友紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/23
- メディア: コミック
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相変わらずの話の奥深さ。穏やかながらしっとりと心に残る。蟲という架空の存在を中心に話を進めていくので「なんでもあり」なのはちょっとずるいような気もするが、そういうことが気にならないのは蟲に寄るだけではなく、人のドラマをきちんと描いているからだろう。
以下ネタバレ込み。
一番印象的だったのは、最初の「天辺の糸」。いきなり「天から降りてくる一筋の白い糸」というだけでぞぞっときた。シンプルで地味だがありえない存在の天から降りてくる糸。そしてそれに触れた者の末路。指先から伸びる糸は「空に繋がる」。人ならざるものになり、人との繋がりによってのみ下界に留まることのできる娘。どこからこれだけの発想が生まれてくるのか、面白いと思うとともに、羨ましい。
最後の「野末の宴」はちょっと蟲師っぽくない話かなあと感じた。蟲師があれだけ集まるというのはこれがはじめてだったように思う。ギンコもいつもの雰囲気とちょっと違っていた。と思いながら読んでいたら、最後に「世に出しちゃならないというのは建前で・・・」というところで、やっぱりギンコなんだなあ、と。蟲が見えるようになる酒。飲んでみたいような、見れない方が幸せなような。
前作が救いのない、あるいはわだかまりの残る話が多かったのに比べ、今回は救いのある話が多かったように思う。蟲との関わりは時に悲劇を呼び、蟲師とてその理を変えることができるとは限らない。それはわかっていても、やはり今回のような話が多いとほっとする。
そういえば、帯に「アニメ化」と書いてあるが・・・、さてはて。
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