コトバノウタカタ

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HALF-LIFE2 MOD - Eclips

ゲームの話は久しぶりかな。


HALF-LIFE2のシングルMOD、「Eclips」のベータ版が公開された。このゲームは、HALF-LIFE2を教材として授業を行った大学の学生グループが作った作品とのこと。いまのところHALF-LIFE2を持っていれば無料でプレイできる。正式リリースがどうなるかはまだ不明。

スクリーンショットを見るだけでもかなりインパクトが強かった。このたび、そのベータ版をプレイしてみたのでその感想をば。いままでMODの感想をここに書くということはなかったのだが、このゲームはMODとは言いながら、ほとんど独立したゲームとして完成されている印象を受けたので書いてみたい。


ゲームの世界観はHALF-LIFEのものとはまったく違う。ゲーム性という点においても、まったくの別物となっている。舞台はファンタジー世界、主人公は女魔法使い。武器はなく、主人公は魔法の力で周囲に落ちている岩やカボチャを投げつけて敵と戦う。HALF-LIFEシリーズと違い、常に三人称視点で、主人公の後ろ姿を常に見た状態で進んでいく。

まずひとつの肝は、「物を投げつける」というアクション。画面上の移動可能な物理物体の上にカーソルがくると、カーソルが青くなる。そこで左クリックをすると物が浮き上がる。その状態でマウスの右ボタンを押し、放すとその物体をカーソルの先に投げつける。右ボタンを長押ししていると魔力がたまり、投げる力も強くなる。

この戦い方はもどかしいが、けっこう斬新だ。HALF-LIFE2の重力ガンが進化したような形とも言えよう。複数の物体を空中に持ち上げておいて、一気に撃ち放つのは心地よい。またこのとき、物体はHALF-LIFE2で実現された物理エンジンに従って動作する。ぶつかったり、跳ね返ったり、落下したり、といった動作が、すべてリアルな物理演算によって行われるのだ。この「浮かす→投げる」という操作は、物理エンジンを上手く活用した良いアイデアだと思う。


もうひとつの肝は、見た目、グラフィックスだろう。ファンタジー世界の不思議で幻想的な雰囲気を、このゲームは非常に良く表現している。特に光の効果は絶妙で、HALF-LIFE2のグラフィックス性能を良く使っている。現在ではもっと高度なグラフィック技術を使ったゲームも出てはいるが、既存のエンジンを使ってこのゲーム独特の良い雰囲気をしっかりと形作っているところを評価したい。


しかし難点もいくつかある。まず操作性の悪さ。三人称視点ということもあるが、それを置いても微妙に操作しづらいことは否めない。特にターゲットの位置決めの際、なにもない空中を向いていると、カーソルが表示されなくなってしまう。空中の敵を捕らえる場合にこれが非常に不便。

もうひとつ、マップが狭い割りにロード時間が長い。読み込みにかなり長い時間待たされ、ようやくエリアに入ったかと思うとほどなく次のエリアへ入ってしまう。そのたびに待たされるが辛い。このグラフィックスを読み込むのだから時間がかかってしまうのは仕方ない。これがHALF-LIFE2の宿命だとは知ってはいるが、辛いものは辛い。


ベータ版ということでまだ4エリアしか遊べないし、バグも多々残っている。アイテムや魔法、敵についても数が少ないが、そのあたりはこれから進化していくものだと思っている。これはかなり期待の持てるMODだろう。発想と技術と計画力があれば、学生でもこれだけのものを作り出してしまうということを見せてくれる作品だ。完成が楽しみである。

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