コトバノウタカタ

よしなしごとをつらつらとつづるばしょ。

はてなの複数アカウント

本日、はてな内で複数のアカウントを保有できる機能を追加しました。
これまで、はてなのアカウントは1人1アカウントとさせて頂いておりましたが、「用途に合わせて複数のダイアリーを持ちたい」といった要望を頂いており、こうした要望を受けて第2、第3のアカウントを作成可能としました。

さてはて。またはてながびっくりするような仕様変更を突然行なった。いままで「ひとり1アカウント」としていたものを、1人3アカウントまで取得できるように変更したのだ。

さて、ユーザは何の目的で複数アカウントを欲しているのか。

ユーザ視点を考えてみる

まずは「公開日記と非公開日記を分けたい」ということがあるだろう。私自身、非公開のメモ用日記をはてなグループ内に作っている。下書を書いたり、一度書いたがちょっと公開するのが躊躇われるような記事を残しておいたり、後で言及しようと思うニュースなどを覚書しておいたり、などの用途に使っている。他にも「純粋に自分だけの日記」を書きたいと思う人などもいることだろう。そういう「副次的な日記」としての意味。

また「コンセプトを持ったアカウント」なども作りやすくなるだろう。何かのジャンルや事柄に特化した日記やアンテナ、RSSを作ることができる。これは作る側にとっても見る側にとっても便利で面白いことになりそう。

もうひとつは「匿名性」。主日記とは別の人格として日記を付けたいという欲望は、よくわかる。趣味に走った日記、多少なりとも攻撃的なもの、捨て鉢なもの、逆にすごくいい人ぶってみたもの、社交的な性格を演じてみたもの、などなど。本来の自分とは違う自分を日記で演じる。複数アカウントはその手助けもしてくれよう。

しかしこれは諸刃の剣で、場を荒らす手段を与えることにもなる。他の人の日記に多少攻撃的なコメントなどを書き込みたい場合、主アカウントで書きこむのはやはり憚られるだろう。そのような場合、複数アカウントによって取得した「煽り用ハンドル」で書き込むことができる。そういう意図で使う人間は必ず出てくるだろう。また「自作自演」も容易にできるようになった。この匿名性により、はてなの穏やかな秩序が微妙に乱れるのではないかという不安はある。

はてな視点を考えてみる

一方ではてなの方は、何を思って複数アカウントを導入したのか。ひとつには、現状で禁止されているとはいえ、ひとりで複数アカウントを使用する輩は後を絶たない。ならばいっそ、制度として導入してしまえ、ということか。

しかしここには落とし穴があるように思う。いままではたとえば規約をよく読まず複数アカウントにしてしまい、それを暴露している日記などもあった。そこに対して「複数アカウントは規約違反ですよ」とお節介コメントを書き込んで教えてあげる、などの光景も見られた。だが複数アカウントが可となった場合、それが副アカウントなのか、あるいはまったく別に取得した主アカウントなのか見分けがつかない。お節介モノがお節介を焼くこともできなくなる。けっきょくのところ複数アカウントを統制する秩序も乱れてしまうのではなかろうか。

もうひとつ。副アカウントの導入により、はてなグループの存在意義、意味合いを明確にしようという意図もあるように思う。いままでは副次的な日記として使われるケースが多かったと思うが、これからはその名の通り、「グループ」としての利用を前面に押し出していくつもりなのではないだろうか。その手始めとしてはてなグループの掲示板が用意されている。


複数アカウント機能自体は便利だし、ユーザニーズにかなっているとは思う。だが上記のような危惧、不安を解消するための術が用意されていないという点が引っかかる。


とまあ、新しいことにケチを付けるのは私の性分のようなものなので話半分で。とりあえずメモ用のグループを副アカウントに移行しようかどうか思案中。

追記

近藤氏の日記でこの件について言及されていた。

匿名にすると人の行動が無責任になるし、いざ違法行為などが起こっても誰だか分からないんじゃないか、と言った危惧があるにせよ、それと同等かそれ以上に、一人で複数の顔を持つ事ができるからこそ表現できることがあり、演じられる役があるというインターネットの面白さを忘れてはいけないということを、改めて学んだ気がします。

なるほど、すべて想定の範囲内*1ってことですね。

*1:うわー、この言葉使いづらくなっちゃったなあ。